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「電車止まったんで遅れます」とLINEで送ってきた新人。だが、上司の返信で嘘が露呈。実は【短編小説】

本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
嘘をついた新人
私の職場に配属された新人の男の子は、愛想がよくて憎めないタイプなのですが、少しだけ「調子のいい」ところがあります。
仕事のミスを笑ってごまかしたり、自分の都合のいいように解釈したり。
そんな彼の性格が、ある雨の日の朝、とんでもない事態を引き起こしました。
月曜日の朝、始業時間の30分前に、部署のグループLINEに彼からの通知が入りました。
『すみません! 通勤で使っている〇〇線が、止まってしまいました。まだ動きそうにないので、しばらく遅れます』
外は雨ですし、週の初めはダイヤが乱れることもよくあります。
「あちゃー、それは不運だね」と、私は同情しながら「了解、気をつけて来てね」と返信しようとしました。
上司の詰めの一文
その時です。同じグループLINEに、もう一件の通知が入りました。
送り主は、なんと「上司(課長)」でした。
『お疲れ様。それは大変だね。で、君は今、何両目に乗っているんだい?』
私はスマホ画面を見て首をかしげました。(えっ、なんでそんな具体的なことを聞くんだろう?) 上司は今日は朝から取引先へ直行の予定で、まだオフィスには来ていません。
不思議に思っていると、上司から追撃のメッセージが届きました。
『実は私も今、移動中でその〇〇線に乗っているんだよ。私の乗っている電車は、事故もなく定刻通りスムーズに走っているんだけど……君が乗っている電車だけ、止まっているのかな?』
一瞬にして、グループLINEが凍りつきました。
なんという偶然でしょう。
直行中の上司も、偶然彼と同じ電車(しかも同じ時間帯)に乗っていたのです。
「電車が止まっている」という言い訳は、実際にその電車に乗っている人物の前では通用しません。
数秒後、新人からの『既読』がつきましたが、返信は途絶えました。
結局、彼が会社に到着したのは30分後。
「すみません! 本当は二度寝しました!」と、真っ青な顔で正直に白状しました。
上司は後で会社に戻った際、「嘘をついてごまかすより、正直に言ったほうが何倍もマシだぞ」と彼を諭していました。
「嘘をつくなら、バレない相手につけ」とは言いますが、まさかのアリバイ崩しに、スマホを握りしめていた私が一番冷や汗をかいた出来事でした。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。
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