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「30人やっぱなしで」忘年会を当日キャンセルする客。翌月、その客が青ざめた顔で来店したワケ【短編小説】

30人やっぱなしで忘年会を当日キャンセルする客翌月その客が青ざめた顔で来店したワケ短編小説

本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。

忘年会をキャンセルする客

居酒屋で働く私にとって、12月は一年で最も気が抜けない季節です。
その日、私たちは朝からピリピリとした緊張感に包まれていました。
夜の7時から、ある企業の忘年会として「30名様」のご予約をいただいていたからです。

30人分のコース料理となれば、仕込みの量も半端ではありません。
他のお客様をお断りして確保したお席です。
しかし、午後3時過ぎ。一本の電話がその努力を無にしました。

「あー、今日の30人だけど、やっぱなしで」 電話の主は幹事の男性でした。
「えっ…なし、ですか? もう食材も準備しておりまして…」
「駅前でもっと安い店見つけたからさ、そっち行くわ。じゃ」

あまりに軽い口調に、私は慌てて食い下がりました。
「お客様! 当日のキャンセルは、規定により全額のキャンセル料が発生します!」
しかし、男性は鼻で笑いました。
「はあ? 食べてないのに金払うバカいないだろ。会社にもバレなきゃいいんだよ」
ガチャッ、ツーツー…。

無情にも切れた電話。
途方に暮れる私に、店長は静かに言いました。
「『会社にバレなきゃいい』って言ったんだね? じゃあ、きっちり会社宛に請求書を送ろうか。法人予約だし、正当な手続きだ」 店長は、予約時に控えていた会社所在地へ、弁護士作成の文書と共に請求書を郵送したのです。

青ざめた顔で謝りに来た客

年が明け、1月の半ば。
開店直後の店に、あの幹事の男性が駆け込んできました。
以前の横柄さは消え失せ、顔面は蒼白です。

「す、すみませんでした! これ、キャンセル料です…!」 震える手で封筒を差し出す彼。
話を聞くと、とんでもない事態になっていたようです。

店からの請求書は、彼の会社の経理部に直接届きました。
見覚えのない高額請求に驚いた経理担当が上層部に確認し、事態が発覚。
「予約を無断で踏み倒し、会社に請求を回すとは何事だ!」と社長が激怒し、彼は社内で厳重処分を受けたそうです。

「会社の信用を落とした。自腹で払って許してもらえと言われて…」 彼は泣きそうな顔で何度も頭を下げ、逃げるように帰っていきました。

「会社なら払ってくれるだろう」あるいは「バレないだろう」。
そんな甘い考えは、社会では通用しません。
自分のお財布だけでなく、会社の看板まで傷つけてしまった彼。
その代償は、キャンセル料以上のものになったはずです。

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。

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