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「復職はできそうにないわ」育休中の私に届いた上司からのLINE→職場に直談判に行った結果【短編小説】

本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
LINEでの突然の解雇
生後半年の息子を寝かしつけ、泥のように眠っていた昼下がりのことでした。
枕元のスマホが連続して震え、私は重たい瞼をこすりながら画面を覗き込みました。
表示されていたのは、直属の女性上司からのLINEです。
「悪いけど、復職はできそうにないわ」
寝ぼけていた頭が一瞬で冷えました。
育休明けには元のポストに戻る確約があったはずです。私は震える指で返信を打ちました。
「えっ、どういうことでしょうか? 会社からの正式な通達ですか?」
既読はすぐにつき、間髪入れずに返信が来ます。
「ううん、私の判断。今のチームの雰囲気だと、子持ちのおばさんが戻ってきても浮いちゃうと思うのよね。だから、自主退職ってことにしておいてあげる」
「自主退職って……それは不当解雇ですよね? 人事に確認します」
「人事にはもう『本人が育児に専念したがっている』って伝えてあるから。余計な波風立てないでね。それじゃ」
一方的に会話を打ち切られ、私はスマホを握りしめました。
悲しみよりも、ふつふつと湧き上がる強烈な怒り。
「おばさん」呼ばわりされたこと以上に、勝手に私の進退を捏造されたことが許せません。
「波風立てるな? 上等じゃないの」 私は実母に電話して息子を預けに来てもらい、スーツに着替えると、タクシーで会社へと向かいました。
上司に直談判した結果
オフィスに到着したのは終業間際。
アポなしで部署のドアを開けると、そこには優雅に雑誌を読んでいる上司の姿がありました。
「お疲れ様です」 私が声をかけると、上司は「ひっ」と短い悲鳴を上げて飛び上がりました。
「な、なんでここにいるのよ! 話はついたでしょ!?」
「いいえ、ついていません。人事部長にも先ほど連絡を入れ、今こちらに向かってもらっています」
「はあ!? あんた何勝手なことを!」 上司が顔を真っ赤にして立ち上がった瞬間、後ろから重々しい声が響きました。
「勝手なことをしているのは、君の方じゃないかね?」
振り返ると、そこには人事部長と役員が立っていました。
実はタクシーの中で、私は上司とのLINEのスクリーンショットを人事部長に転送していたのです。
「私の判断」「自主退職に捏造」という証拠がバッチリ残った画像を。
「部下の復職を妨害し、虚偽の報告をするとは……。詳しく話を聞かせてもらおうか」
「ち、違います! これは誤解で……!」 真っ青になって言い訳をする上司を冷ややかに見下ろしながら、私は深く一礼しました。
結局、上司は地方の閑職へ飛ばされ、私は予定通り元のデスクへ復職しました。
ただ一つ計算外だったのは、上司がサボって溜め込んでいた大量の未処理案件まで私が引き継ぐことになった点でしょうか。
「復職はできそうにない」なんて言われましたが、皮肉にも今の私は、以前よりも忙しく、そして堂々と働いています。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。
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