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飲み会で「男なら飲めるだろ」と一気飲みを強要する先輩。だが、店員のある正論に思わず沈黙【短編小説】
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本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
止まらない先輩のアルハラ
これは私が以前勤めていた会社で経験した、ある飲み会での出来事です。
私の部署には、典型的な「昭和の価値観」を引きずった男性の先輩社員がいました。仕事はできるのですが、お酒が入るとタチが悪くなるのが玉にキズ。その日も、プロジェクトの打ち上げで居酒屋に集まったときのことでした。
宴もたけなわになった頃、先輩のターゲットになったのは、入社したばかりのおとなしい後輩の男の子でした。
彼は体質的にお酒があまり強くなく、最初の一杯以外はウーロン茶を飲んでいました。それが先輩には気に入らなかったようです。
「おい、なんでお酒を頼まないんだ?」
「あ、いえ、僕はもう十分ですので……」
「はあ? なに情けないこと言ってんだ。男ならこれくらい飲めるだろ!」
先輩は大声でそう怒鳴ると、無理やりジョッキを後輩に押し付けました。周りの同僚たちも苦笑いするばかりで、誰も止めに入れません。後輩は顔面蒼白で、本当に辛そうです。
さらに先輩はヒートアップし、通りかかった店員さんを呼び止めました。 「ここに一番強い酒を持ってきてくれ。この新人を男にしてやるからよ!」
ああ、もう最悪だ。そう思った瞬間でした。
店員の冷静な正論
注文を受けた男性の店員さんは、動じることなく先輩の目を真っ直ぐ見て、静かな声でこう言ったのです。
「お客様、大変申し訳ありませんが、その注文はお受けできません」
「あ? なんでだよ」
「お酒が飲めるかどうかは『男か女か』ではなく、肝臓の分解酵素という遺伝的な体質で決まります。体質的に受け付けない方に無理に飲ませる行為は、急性アルコール中毒を引き起こす危険があり、傷害罪や強要罪にあたる可能性があります」
店員さんは一息つくと、ニコリともせず続けました。
「当店としても、お客様を犯罪者にするわけにはいきませんので」
シン、とあたりが静まり返りました。
「は、犯罪……?」
先輩は急に酔いが冷めたのか、口をパクパクさせています。「男なら」という精神論を、科学的根拠と法律という正論で完全に論破されてしまったのです。
「……あー、じゃあ、水。水をくれ」
「かしこまりました」
店員さんが去った後、先輩は借りてきた猫のように大人しくなりました。後輩が涙目で、こっそりと店員さんの背中に手を合わせているのを見て、私も心の中で拍手を送りました。
あの店員さんの毅然とした対応は、今でも忘れられない最高にスカッとした思い出です。
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※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。
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