Share
結婚式前夜。「元カノの方がよかった」とつぶやく婚約者。翌朝、式場で信じられない光景が…【短編小説】

結婚式前夜、凍りついた一言
明日は、ずっと夢見ていた結婚式です。準備はすべて順調に進み、あとは当日を迎えるだけ。私は、今までの人生で一番幸せだと感じていました。
先に眠りについた婚約者の穏やかな寝顔を見ながら、「この人と家族になるんだ」と静かな喜びに包まれていた、まさにその時です。
「……やっぱり、元カノの方がよかったな……」
彼の口から、はっきりとそう聞こえたのです。一瞬、時が止まりました。空耳かと思ったほどです。
でも、彼の安らかな寝顔は変わりません。私と付き合う前に別れた、あの人のことなのでしょうか。
「元カノの方がよかった」
その言葉が、何度も何度も頭の中で繰り返されます。さっきまでの幸福感が、まるで嘘のように一気に冷えていくのが分かりました。
結局、一睡もできませんでした。彼が本当に愛しているのは、私ではないのかもしれない。そんな最大の不安を抱えたまま、空が白んでいくのを見つめていました。
信じられない裏切り
朝、彼は何事もなかったように「おはよう。いよいよ今日だね」と微笑みました。
私は笑い返せず、無理にうなずきました。
もしかして、あの寝言は本音だったのかもしれない。
式場に着くと、スタッフたちは「おめでとうございます」と声をかけてくれました。
けれど、その言葉が遠くに聞こえるほど、心は冷え切っていました。
ヘアメイクが始まろうとしたとき、プランナーが青ざめた顔で飛び込んできました。
「新郎様が……お客様と少しトラブルになっているようで……」
私は胸騒ぎを覚え、ドレスの上にケープを羽織ってチャペルへ向かいました。
扉を開けた瞬間、世界が音を失いました。
タキシード姿の彼が、花のアーチの下に立っていました。
そして、その隣には彼と腕を組み、幸せそうに笑う女性。
見覚えのある顔でした。
写真で見せてもらった“元カノ”でした。
「どういうこと……?」
私の声は震えていました。
彼は私を見るなり、気まずそうに視線を逸らしました。
元カノの手を、さらに強く握りしめながら。
「ごめん。俺、やっぱり……彼女のことが忘れられなかったんだ」
その言葉で、すべてが終わりました。
涙は出ませんでした。悔しさも、怒りも、ただ空虚だけが残りました。
私は静かにケープを脱ぎ、白いドレスのままチャペルを出ました。
ドアの外は眩しいほど晴れていたのに、
その光の下で、自分の人生が静かに崩れていくのを感じました。
後日、式場から届いた連絡には「新郎からキャンセル料を支払うとの申し出がありました」とだけ書かれていました。
彼からの謝罪も連絡も、一切ありません。
純白のウェディングドレスは、今も部屋の片隅にしまってあります。
あの日、あの光の下で見た“現実”だけが、まだ胸の奥で凍ったままです。
本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
******************
心に響くストーリーをもっと読みたい方
【他のおすすめ短編小説を見る】
******************
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。
友だち登録&アンケート回答で「Amazonギフトカード」など好きな商品を選べるギフトを毎月抽選で5名様にプレゼント!
\ 今すぐ応募する /
Feature
おすすめ記事

