Share
「里帰り出産?許可してない」玄関で鍵を取り上げる夫。義母の一本の電話で立場が逆転したワケ【短編小説】

玄関で奪われた鍵と絶望
「いってらっしゃい」の代わりに、冷たい言葉が突き刺さりました。
臨月も間近に迫った日、私は出産のために実家へ帰る準備を整え、玄関で夫の帰りを待っていました。大きなスーツケースを見て、夫は「お疲れ様」とでも言ってくれると思っていたのです。
しかし、帰宅した夫の第一声は、私の耳を疑うものでした。
「それ、何?……ああ、里帰り出産?許可してないから」
一瞬、何を言われたのか分かりませんでした。
「え……?だって、前から話してたじゃない。あなたも賛成してくれたんじゃ……」
「俺は納得してない。第一、俺を一人にして実家に帰るなんて、妻としてどうなんだ」
夫は信じられないという顔で私を見下ろし、あろうことか、私が持っていた家の鍵をひったくったのです。
「これで行けないだろ。荷物を部屋に戻せ」
玄関のドアを背に仁王立ちする夫。大きくなったお腹を抱え、私はあまりのショックと恐怖に立ち尽くすしかありませんでした。
一本の電話で形勢逆転
その時でした。夫のポケットでスマホが鳴りました。 画面を見た夫が「げ……母さんだ」と呟きます。
「もしもし?……ああ、うん。……え?させないよ。」
夫は気まずそうに電話に出ましたが、すぐに顔色が変わっていきました。
「いや、だって……俺は……え、でも……」
電話の向こうから、かすかに義母の厳しそうな声が漏れ聞こえてきます。
「……はい。……はい、分かりました。……本当にごめん」
電話を切った夫は、先程までの威圧的な態度はどこへやら、すっかり項垂れていました。そして、私から奪った鍵を、バツが悪そうに差し出してきたのです。
「……母さんが、早く行かせてやれって」 聞けば、義母は「今日、里帰りの日ね。車で送って行くの?」と確認の電話をくれたそうです。
そこで夫が「里帰りはさせないつもりだ」と余計なことを言ったため、義母が激怒。
「初めての出産で不安な嫁を、お前一人の都合で閉じ込める気か!」
「私の息子がそんな情けない男だとは思わなかった!」と、電話口でこっぴどく叱られたようでした。
「ごめん……。母さんが、お前を不安にさせたら許さないって……」
さっきまで私を閉じ込めようとしていた夫が、今は義母に叱られてしゅんとしています。私は大きなため息を一つついて、夫の手から鍵を受け取りました。
「……家のこと、よろしくね」
それだけを言い残し、私は呆れ半分、義母への感謝半分で、実家へと向かうタクシーを呼んだのでした。
本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
******************
心に響くストーリーをもっと読みたい方
【他のおすすめ短編小説を見る】
******************
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。
友だち登録&アンケート回答で「Amazonギフトカード」など好きな商品を選べるギフトを毎月抽選で5名様にプレゼント!
\ 今すぐ応募する /
Feature
おすすめ記事

