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「母親のくせに仕事優先?」と責めたママ友が、翌週から職探しを始めていた衝撃的なワケ【短編小説】
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ママ友の正論
私は、小さなデザイン会社で働きながら、小学生の息子を育てる母親です。
もちろん簡単なことばかりではありません。
息子の急な発熱で早退したり、仕事の締め切りに追われてお惣菜に頼ったり。
それでも、仕事も子育ても、どちらも私にとっては大切なものです。
先日、私がどうしても外せない会議で、息子の習い事のお迎えが15分ほど遅れてしまいました。
その時、息子と一緒に待っていたママ友が、私に詰め寄ってきたのです。
「母親のくせに仕事優先? 息子くん、ずっと不安そうだったのよ。信じられない」
彼女は、立派なご主人を持つ専業主婦。
「子供が一番かわいそうなのは、母親がそばにいないこと」
が持論でした。
私は、彼女の「正論」に何も言い返せず、ただ謝ることしかできませんでした。
母親失格の烙印を押されたようで、その日はひどく落ち込みました。
彼女の言葉が棘のように刺さったまま過ごしていた、翌週のことです。
私は、駅前のカフェで、偶然彼女を見かけました。
馬鹿にしていた「働く母親」
驚きました。
彼女は、いつもは読まないような分厚い求人情報誌を広げ、赤ペンで必死に何かを書き込んでいたのです。
あの「仕事優先」をあれほど非難していた彼女が、なぜ?
私はどうすべきか迷いましたが、思い切って声をかけました。
「あの、よかったら……」
彼女は私を見ると、一瞬、泣きそうな顔になり、すぐに俯きました。
「ごめんなさい、先日はあんなこと言って……」
彼女がぽつりぽつりと語りだした事実は、衝撃的なものでした。
なんと、私を責めたあの日の朝、ご主人の会社が、事実上の倒産状態になったと告げられたというのです。
「明日から収入がゼロになるかもしれないのに、のんきに会議に出てるあなたを見たら、我慢できなかった。なんで私ばっかりって……。私、今まで『働く母親』をバカにしてた。本当にごめんなさい」
彼女が私を責めたのは、「母親」としての理想を信じていたからではありませんでした。
自分が信じていた「専業主婦」という足場が、突然崩れ去った恐怖と焦りからだったのです。
彼女は今、私があれほど非難された「母親の仕事」を、必死に探していました。
人の家庭の事情は、本当に外側から見ただけでは分かりません。
彼女を「ざまあみろ」とは、とても思えませんでした。
私たちは同じ「母親」として、ただ、必死に今日を生きている同志なのだと気づかされたからです。
本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
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※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。
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