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合コンで「芸能関係の仕事しててさ」と言う男。帰り際に渡された名刺に書かれていたのは?【短編小説】

合コンに現れた「業界人」
友人に「お願い、人数合わせだから!」と強く誘われて、あまり気乗りしないまま参加した合コンでのことです。
居酒屋の個室には、すでに男性陣がそろっていました。その中の一人、やけに日焼けしていて、派手なアクセサリーをつけた男性が、早々に口火を切りました。
「いやー、昨日もさ、俳優の〇〇と飲んでてさ。あいつ、テレビじゃ見せないけど、飲むと結構熱いんだよね」
(あ、始まった…)私は心の中でため息をつきつつ、乾杯のビールを一口飲みました。彼は「芸能関係の仕事しててさ…」と自己紹介し、その後はずっと彼の「業界話」でした。
「今度始まるドラマ、あれ俺がちょっと関わっててさ。まあ、まだ言えないんだけど」
「わかる?あの有名タレント。あの子、俺がいなかったら今頃…」
正直、話のほとんどがうさんくさく感じました。でも、場の空気を壊すわけにもいかず、友人と一緒に「へえー!すごいですね!」と相槌を打つしかありません。彼は満足そうに頷き、お酒をあおっています。
「まあ、いろいろ大変な世界だけどね。君たちみたいな一般の子にはわからないかな?」
その言い方に、私は少しカチンときましたが、笑顔で「そうなんですね」と流しました。
帰り際に渡された名刺の正体
あっという間に2時間が過ぎ、お開きの時間になりました。
私たちは店の外で「ありがとうございましたー」と挨拶を交わします。すると、あの「芸能関係」の彼が、すっと私に近づいてきました。
「もしよかったら、今度飲まない?これ、俺の名刺」
(え、私に?)少し戸惑いながらも、とりあえず受け取って「ありがとうございます」と返しました。彼が仲間と去っていくのを見送り、私はそっと手の中の名刺に目を落としました。
「〇〇テレビ局 湾岸スタジオ」
そこまでは予想通りでした。しかし、その下に書かれていた肩書きを見て、私は思わず二度見してしまいました。
「常駐警備スタッフ」
……芸能関係。
確かに、芸能人がたくさん出入りするテレビ局の「関係者」ではあります。嘘は言っていません。でも、彼が語っていた華やかな業界話とは、ずいぶん違います。
私は夜道で一人、思わずクスッと笑ってしまいました。あの自信満々な態度は、あの制服を着ている時も同じなのでしょうか。
結局、その名刺に連絡することはありませんでした。
本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
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※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。
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