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「俺、常連だからサービスしてくれ」とドヤ顔で言う客が顔を真っ赤にした店長のある一言!?【短編小説】
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常連を名乗るお客様
こんにちは。
都内の小さなカフェで働いている、私、美紀(みき)です。
当店は、店長の佐野(さの)さんと私の二人で切り盛りしている、カウンターとテーブル席がいくつかあるだけのお店です。
ありがたいことに、毎日顔を見せてくださるお客様も多い、地域に密着したお店です。
その日も、お昼の慌ただしさが一段落し、私がカウンターの中を片付けていた午後のことです。
カラン、とドアベルが鳴り、一人の男性が入ってきました。
年齢は30代くらいでしょうか。少し派手な柄のシャツを着ています。(仮に田中さんとします)
(あ、この方…) 見覚えがあるような、ないような。でも、毎日来てくださる「常連さん」の中にはいないはず…。
田中さんは店内を見回した後、一番奥の窓際の席にどっかりと座りました。
しばらくスマホを触っていましたが、やがてレジカウンターにやってきました。
「ブレンド。熱いのね」 「はい、ブレンドコーヒーですね。ありがとうございます」 私がレジを打とうとした、その時でした。
「あ、そうだ。俺、常連だからサービスしてくれ」
彼はニヤリと笑い、カウンターに肘をついて、これ以上ないほどの「ドヤ顔」で私を見つめてきました。
(えっ? じょ、常連さん…?) 私は驚いて、思わず彼の顔をまじまじと見てしまいました。
確かに見覚えはある気がするのですが、何度も来てくださっている記憶は、どうしてもありません。
「いつも、ご来店ありがとうございます」 戸惑いを隠し、なんとか笑顔で返します。
「それで、サービスというのは…?」 「だからさ。常連なんだから、なんかあるでしょ。コーヒー一杯無料とか、クッキーつけてくれるとかさ」 彼は当たり前のように言います。
店長の一言に赤面する常連
私がどうしたものかと困っていると、奥から店長の佐野さんが出てきてくれました。
「お客様、いつもありがとうございます。当店のポイントカードはお持ちでいらっしゃいますか? 10回来ていただくと、コーヒーが一杯無料になるんですよ」 佐野店長が穏やかに尋ねます。
「あ? カード? 持ってないよ。そういうのいいから。常連だって言ってんの」 田中さんは少しイラっとした様子です。
佐野店長は、ふと思い出したように、にこやかな表情のまま言いました。
「お客様、失礼ですが、先週の火曜日の午後にもいらっしゃいませんでしたか?」
「お、覚えてるじゃん。そうだよ! だから常連だって」 田中さんは「ほら見ろ」と言わんばかりに胸を張ります。
その言葉で、私もハッキリと思い出しました。
そうです、先週の火曜日です。初めて見るお客様だったので、印象に残っていたのです。
佐野店長は、完璧な笑顔を崩さずに続けました。
「はい、私もよく覚えております。その時もブレンドコーヒーをご注文くださいましたね」 「ああ、そうだよ」
「二度目のご来店、心より感謝申し上げます。よろしければ、今日からポイントカードをお作りいたしましょうか?」
ピシッ。 店内の空気が一瞬、固まった気がしました。
田中さんのドヤ顔が、みるみるうちに赤くなっていきます。
「……あ、そう。……じゃあ、いいよ。コーヒーだけで」 彼はぼそぼそとそう言うと、お財布から小銭を出し、コーヒーを受け取ると、席には戻らず、バツが悪そうに足早に店を出て行ってしまいました。
「常連」の基準は人それぞれですが、さすがに2回目は…。 店長と顔を見合わせ、思わず苦笑いしてしまった午後の出来事でした。
本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
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※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。
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