Share
「あなたの為に言ってるの」が口癖の友人。私の婚約者を紹介した途端、彼女が絶句した事実とは【短編小説】

「あなたの為」という呪文
私の学生時代からの友人である奈美さん。彼女の口癖は、決まって「あなたの為に言ってるの」でした。
私が新しい服を買えば「その色、あなたには似合わないわよ。あなたの為に言ってるの」
私が仕事で悩んでいれば「そんな会社、早く辞めた方がいいんじゃない?あなたの為よ」
正直、うんざりしていました。彼女の「アドバイス」はいつも私を否定し、支配しようとするものばかり。でも、腐れ縁とはこのことで、なかなか関係を切ることができずにいました。
そんな私が、ついに婚約したことを報告した時のことです。
「婚約!?相手はどんな人なの?大丈夫?変な人に捕まってない?あなた、騙されやすいから心配だわ」
案の定、奈美さんは心配するフリをして、値踏みするような言い方をしてきました。
「今度、ちゃんと私に紹介しなさいよ。あなたの為に、私がしっかり見定めてあげるから」
その上から目線な物言いにため息が出そうになりましたが、ここで断ると余計に面倒です。「わかったわ」とだけ返事をし、後日、彼と3人で会う約束を取り付けました。
婚約者を紹介した瞬間
当日。カフェの席で待っていると、奈美さんは腕を組んで私に説教を始めました。
「いい?もしダメそうだと思ったら、私はハッキリ言うから。それも全部、あなたの為だからね」
「ありがとう」と曖昧に返した、その時でした。
「ごめん、待った?」
彼、彰さんが笑顔で現れました。
その瞬間、さっきまで得意げだった奈美さんの顔が、面白いほどサッと青ざめて固まったのです。
「え……あ……」
口をパクパクさせ、信じられないものを見る目で彼を見つめています。
彰さんも一瞬驚いた顔をしましたが、すぐに冷静な表情に戻り、奈美さんに会釈しました。
「どうも。お久しぶりです」 「あ、あの……部長……。いえ、あの……」
私には何が何だか分かりません。
「え?二人って知り合いなの?」
私が尋ねると、彰さんは私に向き直り、優しく微笑みました。
「ああ。彼女、僕が前にいた部署の部下だったんだ。色々あって、退職されたけどね」
「色々……?」
「まあ、僕が彼女の『教育係』みたいなものだったから。」
彰さんにそう言われた奈美さんは、顔面蒼白のまま小刻みに震えています。いつも私をやり込めていた彼女の姿は、そこにはありませんでした。
「あなたの為に言ってるの」という得意のセリフも、さすがに“元上司”で“友人の婚約者”となった彼には言えないようでした。
そのうろたえる姿を見て、私の胸はスーッと静かに晴れていくのを感じました。
本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
******************
心に響くストーリーをもっと読みたい方
【他のおすすめ短編小説を見る】
******************
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。
友だち登録&アンケート回答で「Amazonギフトカード」など好きな商品を選べるギフトを毎月抽選で5名様にプレゼント!
\ 今すぐ応募する /
Feature
おすすめ記事

