Share
スピーチで暴かれた裏切りの真実。親友の妊娠、崩壊する結婚式——それでも花嫁は笑った【短編小説】

人生最高の幸せな一日のはずが…
純白のドレスに身を包み、隣に立つ新郎の健太さんの腕にそっと手を添える。
私の人生で、間違いなく一番幸せな瞬間でした。
会場からの温かい拍手に包まれ、少し照れくさそうに笑う健太さんを見て、この人となら大丈夫だと、心の底から信じていました。
披露宴は和やかに進み、いよいよ新郎の友人代表スピーチの時間。
健太さんの親友だという鈴木さんが、少し緊張した面持ちでマイクの前に立ちました。
最初は当たり障りのない思い出話でしたが、彼の表情が徐々に曇っていきます。
「……でも、健太。俺はお前の過ちを、このまま見過ごすわけにはいかない」
会場の空気が一瞬で凍りつきました。
鈴木さんは真っ直ぐ健太さんを見つめ、震える声で続けました。
「お前が、花嫁である美月さんの親友、佳織さんと関係を持っていたことを俺は知っている。しかも、佳織さんのお腹には、新しい命が宿っていることも!」
ざわめきが波のように広がります。
私がゆっくりと隣を見ると、健太さんは顔面蒼白で何も言えずに固く拳を握りしめていました。
招待客席に目をやれば、いつも明るい佳織さんが顔を覆って俯いています。
ああ、点と点が繋がってしまった。
悲しみよりも、裏切りへの冷たい怒りが湧き上がってきて、不思議なくらい頭は冴えわたっていきました。
花嫁の華麗なる逆襲劇
私はすっと立ち上がり、司会者からマイクを受け取ると、にっこりと微笑んでみせました。
「ご紹介に預かりました、”元”花嫁の美月です。皆様、本日はお集まりいただき、誠にありがとうございます」
一瞬の静寂の後、私は言葉を続けます。
「健太さん、そして佳織さん。ご結婚おめでとうございます。この日のために心を込めて準備したこの素敵な披露宴は、お二人への私からのお祝いです。どうぞ、存分に楽しんでくださいね。ああ、それから慰謝料ですが、今日のこの費用全額で結構ですよ。後日、私の父から正式に請求書をお送りしますので」
そして、衝撃の事実を教えてくれた鈴木さんに向き直り、深々と頭を下げました。
「鈴木さん、本当にありがとうございました。あなたの勇気あるスピーチのおかげで、私は最悪の未来を回避できました」
最後に、私は高砂からシャンパングラスを手に取ると、高らかに掲げました。
「それでは皆様、主役のお二人の門出を祝して、乾杯!」
そう言い放つのと同時に、私はグラスの中身を、唖然とする健太さんの頭からぶちまけました。
会場に響く小さな悲鳴をBGMに、純白のドレスの裾を翻し、私はたった一人で会場を後にしたのです。
もう涙は一滴も流れませんでした。
本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。
友だち登録&アンケート回答で「Amazonギフトカード」など好きな商品を選べるギフトを毎月抽選で5名様にプレゼント!
\ 今すぐ応募する /
Feature
おすすめ記事