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「試着時間が長い」と文句を言われた私。数分後、その人が延々と鏡の前で動けなくなっていた【短編小説】

試着時間が長いと文句を言われた私数分後その人が延々と鏡の前で動けなくなっていた短編小説

試着室で文句を言われた私

私の名前は亜美。
友人の結婚式に着ていくための、お気に入りの一着を見つけようと、週末のデパートへ足を運んだ時のことです。

人気のセレクトショップは、大変な混雑。
特に、試着室の前には長い列ができていました。

やっと私の番が来て、ワンピースを二着、試着室へと持ち込みます。
サイズ感や、動きやすさを、鏡の前で入念にチェックする私。
十分ほどして、試着室から出ると、次に並んでいた高橋さんという女性に、聞こえよがしに舌打ちをされました。

『やっと出てきた。一人で何分かかってるのかしら。本当に、迷惑な人』

その、棘のある言い方に、私は顔が熱くなるのを感じました。

気を取り直し、購入する服を決め、レジへと向かいます。
すると、数分後、先ほどの試着室の前が、何やらざわついていることに気がつきました。

騒ぎの原因はさっきの高橋さんだった

人だかりの中心にいたのは、先ほどの、高橋さんでした。

彼女は、体にぴったりと張り付くような、サイズの合っていないワンピースを着たまま、試着室の前の鏡の前で立ち尽くしています。

どうやら、背中のファスナーが途中で引っかかり、上がらなくも、下がらなくも、なってしまったようでした。

彼女は、腕を必死に背中へ回し、悪戦苦闘していますが、ファスナーは、びくともしません。
友人に手伝ってもらっても、状況は変わらず、しまいには、店員さんまで呼び出す騒ぎに。

「試着が長い」と、個室での、たった十分間の私を、あれほど非難した彼女。
その彼女が今、店のど真ん中で、衆人環視の中、ワンピースが脱げないという、赤っ恥を延々と晒し続けているのです。

焦りと羞恥で真っ赤になった彼女の顔。
その姿はあまりにも滑稽で、そして皮肉なものでした。

急がば回れ、とは、よく言ったものです。
彼女は、身をもって、その言葉の意味を、学んだことでしょう。

本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。

 

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※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。

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