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「指輪は無理」と言った彼が、SNSで高額スニーカー自慢。その投稿を最後に別れた話【短編小説】

指輪は無理と言った彼がSNSで高額スニーカー自慢その投稿を最後に別れた話短編小説

結婚指輪を買えない彼氏、意外な真実とは

彼、健太との結婚が決まった時、私は幸せの絶頂にいました。
式場のパンフレットを眺め、新しい生活に胸を膨らませる毎日。
ただ一つ、私たちの間には、小さな、けれど無視できない問題が横たわっていました。

「ごめん、美咲。今は、結婚指輪を買う余裕がないんだ」

少し前にあった親族の不幸で急な出費が重なった、と彼は申し訳なさそうに頭を下げました。
その辛そうな表情を見て、私は「大丈夫だよ、落ち着いてからでいいよ」と答えました。
形よりも二人でいることの方が大切だと、本気で思っていました。
将来のために、私も節約を頑張ろうと心に誓ったのです。

SNSで見つけた、まさかの投稿…

それから数週間後のことでした。
お昼休み、何気なくSNSを眺めていた私の指が、ある投稿の前でぴたりと止まりました。
それは有名なスニーカー情報サイトがシェアした投稿で、発売されたばかりの超人気限定スニーカーの写真でした。

『抽選に外れ続け、執念でゲット!プレ値だったけど後悔はない!』

そんな得意げな一文と共に投稿された写真。
見慣れたカーペット、スニーカーを持つ骨張った指…。
それは紛れもなく、健太のアカウントでした。
その投稿は、彼の趣味の仲間たちから無数の「いいね!」を集め、ちょっとしたお祭りのようになっています。

私の頭から、さっと血の気が引きました。
震える手で、そのスニーカーの相場を検索する。そこに表示された金額は、私が「いつかでいいよ」と我慢した、ペアで十数万円の結婚指輪よりも、ずっと高価なものでした。

彼が言った「余裕がない」という言葉が、頭の中で空虚に響きます。
私との未来を築くためのお金は「ない」のに、自分の趣味のためのお金は「ある」んだ。
裏切られたというより、彼の優先順位の低さに呆然としました。

彼を問い詰めた結果…

その日の夜、私は帰宅した健太に黙ってスマートフォンの画面を見せました。
彼が自慢げに掲げるスニーカーの写真と、おびただしい数の「いいね!」
全てを察した彼の顔が、みるみる青ざめていきます。

「これは、その、趣味っていうか、投資みたいなもので…」

しどろもどろになる彼の言葉を聞きながら、私の心は不思議なほど静かでした。
私は静かに婚約指輪を外し、テーブルの上に置きました。
キラキラと輝いていたはずのその石が、今はひどく色褪せて見えました。

本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。

 

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