ELIE INOUE

2015.03.23(Mon)

2015-16年秋冬コレクションレポート!癒しからの脱却で力強さを纏う現代の女性

11 FashionWeek

New York – London – Milano – Parisとバトンを回したコレクションサーキット。今シーズンは、Louis Vuittonの素晴らしいショーがコレクションを締めくくりました。多くの原稿とトレンドリサーチレポートの作成に終われている私は未だ興奮冷めやらぬまま。「やっぱりファッションはいいな」と心の奥底から感じています。2015-16年秋冬シーズンはまさに変化!前シーズンまでの“ノームコア”や“癒し”といった、包み込むような優しさのあったトレンドは終焉を迎えたようです。好調な景気も後押しして、自ら現状を打破する力強い現代の女性が今秋冬のキーワード。

■ BALENCIAGAの二面性

メンズとレディースの融合を見せたスタイリングの多かった今季。伝統的な紳士服を思わせるテーラードや、ハードなヘビーメタルでロックテイストに全身黒で統一されたスタイリングなど。男女の性別の境界線を行き来するような中性的なムードの中に、素肌が透けて見えるレースや大胆に入ったスリットのスカートは官能的で見事な二面性を表現していました。


BALENCIAGAのこのルックは、今シーズンのトレンドを凝縮しています。ボリュームのある近代的なパターンで構築的なアウターに、脚を見せるタイトなスカート。貴婦人を彷彿とさせる上質なレザーのグローブや煌びやかなイヤリング・イヤーカフに、厚底のボリューミーな編み上げブーツで男性的なスパイスを。剥き出しのセクシーアピールよりも雄弁に女を魅せる新しい見せ方です。ユニセックスといっても、ただ男性を真似たような力強さを持つのだけではなく、女性らしい柔軟性や芯の強さを兼ね備えた新たな女性像を打ち出しました。

■ 伝統を守るCHANEL



伝統的な裁縫技術やフォルムを過去から引き戻したビッグメゾンのコレクションは、前衛的なデザインの中にもアイデンティが健在。ここでも、過去と未来の二面性が見え隠れしています。 特にCHANELは、ココ・シャネルの原点ともいうべきツイードのセットアップを伝統的な手法と化学繊維を融合させてデザインされました。それはCHANELにしか作れないもの。唯一無二のブランドは、いつの時代も強い女性の味方のよう。

■ 現代の女性を表現したStella McCartney

「流動性の中に柔らかさと温かみを見つけだすことがテーマです。女性が緩くほどけ、彼女自身の中のもっと優しい部分を見いだせるようなカットワークが多く取り入れられています」そう語ったステラ・マッカートニーは、二人の子どもを持つ母・妻・デザイナーの3つの顔を持つまさに現代の女性。弾ける活気や知的要素、品性を損なわせない彼女のコレクションは、思わず「これが欲しかったの!」と叫びたくなるほど。仕立ての良さと、精密に計算され尽くしたスタイリングは、一切の妥協を許さない彼女の潔さが伝わってきます。


過去から紡いできた伝統を武器に、めまぐるしく変化し続ける未来を見据えて今を歩く。男性と女性、過去と未来、伝統と前衛、アナログとデジタル。変革の深淵にある現代は、それらの融合で化学反応を起こした装いが要になりそう。力強さを纏い、自分の足で進むべき道に一歩ずつ前進していきたいもの。




ELIE INOUE
instagram@elieinoue

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