GLAM Editorial

【女の履歴書】Vol.10 アーティスト・伊藤千晃「仕事も子育ても楽しくやりたい。笑顔があるところにいいものが生まれると信じて」

Q. この業界に入ってから、ファッションやコスメに対する想いはどのように変化しましたか?

20代の頃は個性を出すことについてはいろいろと悩んでいました。それにコスメやビューティー、ファッションがいくら好きでも、センスを持っている人や専門の勉強をしている人がたくさんいましたし。「自分の強みってなんだろう」って考えた時に、せっかく音楽をやっているのだから、音楽の中でファッションやメイクを表現できれば、それが個性になるんじゃないか、というアドバイスをもらったのがきっかけで、仕事で使うものは自分で選ぶようになりました。それがファッションを自分流にしていこうと思った時期でした。

Q. 個性を出すことは、その塩梅が難しそうです。

どこまで表現していいのか、塩梅がわからなかったので、何度もやり直しすることもありました。自信を持ってスタッフさんに提案したものが跳ね返されたときには、すごく凹みましたね。とくに20代は私自身、尖っていた時期もあるので「なんで認めてくれないの?」「いい表現のはずなのに」なんて思うことはたくさんありました。いい提案のはずなのに却下されるのは納得いかない、と怒ったりもしていました。でもそんなやり取りを通して、自分の思いが強すぎてもダメ、相手の気持ちをくみとることも必要、それがわからないと認めてもらえないことを学びました。言い方やプレゼンのやり方、人の気持ちを動かす方法を、何でも言い合える身内の中で勉強させてもらえたのは、私にとってすごく大きなことでした。

Q. そこから「自分のブランドをやろう」と思ったきっかけは?

結婚・出産を経て、少しずつお仕事を再開する中で、自分が30代になったこともあり「今後の人生を生きていく中で、何がしたいのだろう」と考えるようになりました。私は、自分のアイデアや、漠然と「こうしたいな」と思うとすぐに周りに話します。いつもの感覚で「自分の好きなことを仕事に繋げられる人生って素敵だよね」という話しをスタッフさんなど周りの人に言っていました。タイミングよく、実際にブランドを立ち上げるお話をいただいたので、「え? できるの?」と思いましたが、もし、それができるのであれば、やってみたいと真剣に考えるようになりました。一緒にやりたいという人も運良く集まってくれたし、その人たちの表現しているものもすごく好きだったので、一緒にチームとして作れるのであれば夢を叶えたいと強く思いました。そこから「立ち上げるならちゃんとしたい」とスイッチが切り替わった感じです。

Q. 具体的に何をしたのでしょうか?

まずは、何を作りたいかを考えました。自分のためなのか、相手のためなのか。復帰してからの4カ月くらいは、ファンに届けることを意識した曲作りをしていました。でも、音楽は自分の表現でもあるので、ファンのためだけというのに違和感がありました。そんなことを考えながら自分の表現が変わってきたのが今年、まさに2019年の初めの頃です。そんなときに、「KIKI AND DAYS」のコンセプト“Beside You, Beside Me.(いつもあなたのそばに、いつもわたしのそばに。)”が浮かびました。自分が作りたいものはもちろんだけど、人と人とのギフトコミュニケーションを大事にしたい。ギフトとして贈れるものを作りたいと思い、展開の組み立てが始まりました。学生の頃は、何かイベントがあればプレゼント交換とかしていたのに、大人になるとその機会が減るなと。せっかくなら、自分が選んだ最高の贈り物を贈りたいという“気持ち”を大切にしてほしい、相手を思いながら選んでほしいという想いを込めました。


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