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「あんなところで何が光っているんだろう」自宅への帰り道。お寺の横を通り過ぎようとした瞬間、私が見たのは…
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「あんなところで何が光っているんだろう」自宅への帰り道。お寺の横を通り過ぎようとした瞬間、私が見たのは…
夜道に現れたのは
もうすぐ80歳を迎える私の、忘れられない記憶。
それは60数年前、のどかな田舎町で暮らしていた頃の出来事です。
「急がないと、電車に乗り遅れてしまうな」
すっかり日が暮れた夜道。
駅へ向かう私の足取りは、暗さもあって自然と早まっていました。
ちょうど自宅と駅の中間あたり。道路沿いにあるお寺の横を通り過ぎようとした瞬間、ふと視界の隅で何かが光ったのです。
「あれ?あんなところで何が光っているんだろう……」
思わず足を止め、お寺の墓地へと視線を送る私。
暗闇の中、ぼんやりと浮かび上がる青白い光。
「うそだろ…火の玉だ!」
それは、間違いなく二つの火の玉。
墓地の奥から、ふわふわと宙を舞うように浮き上がってきたのです。
「そういえば、昨日……」
じっと見つめているうちに、前日の光景が頭をよぎりました。
夕暮れ時、ちょうどこのお寺へと運ばれていくご遺体。
当時はまだ、土葬が一般的だった時代。
「きっと、昨日埋葬された方なんだろうな」
不思議とすんなり合点がいったのです。
あの二つの光は、身体から抜け出した魂そのもの。
宗派が違うため、私がお寺の敷地へ入ることはできません。
しかし火の玉は、道路沿いの塀をゆっくりと越え、こちらへと近づいてきます。
あったのは恐怖ではなく
昔から大変な怖がりだった私。
本来なら「うわっ、お化けだ!」と腰を抜かし、一目散に逃げ出してもおかしくない状況。
それなのに、どうしたことでしょう。
胸の内に湧き上がったのは、恐怖ではなく、静かで穏やかな感情でした。
「このまま、まっすぐ極楽へ飛んでいくんだな。どうか安らかに……」
夜空へ向かって、ふわりふわりと遠ざかっていく二つの光。
私は静かに目を閉じ、夜道でそっと両手を合わせました。
あれから長い年月が経ちますが、私が火の玉を見たのは、後にも先にもあの夜の一度きり。
極度の怖がりだった私が、なぜか少しも恐怖を感じなかった不思議な体験。
あの温かな光は、今でも私の記憶の中で静かに揺らいでいます。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、60代・男性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

GLAM Lifestyle Editorial
編集部
日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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