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「臨時収入があったんだ!奢るよ!」と気前の良い彼。だが、財布の中の免許証を見て、別れを決意【短編小説】

本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
突然の「臨時収入」
「今日は僕の奢りだから、好きなものを頼んでいいよ!」
そんな彼の威勢の良い言葉に、私は少し驚きながらも笑って頷きました。
付き合って1年になる彼は、普段はどちらかと言えば節約家。
デートは割り勘が当たり前だった私たちにとって、彼が自分から「奢る」と宣言するのは、とても珍しいことだったからです。
訪れたのは、予約が取りにくいことで有名な少しリッチなイタリアンレストラン。
彼はメニューを広げると、迷うことなく一番高いコースを注文しました。
「どうしたの? 急に景気がいいけど、宝くじでも当たった?」
私が冗談めかして聞くと、彼は「まあ、ちょっとした幸運に恵まれてさ。臨時収入があったんだよ」と、含み笑いをするだけでした。
美味しい料理を食べている間も、彼は終始上機嫌で、仕事の成功報酬か何かだろうと私は勝手に思い込んでいました。
財布の中に隠された「真実」
悲劇は、お会計の時に起こりました。
彼がレジで財布を開いた瞬間、私の目に信じられない光景が飛び込んできました。
彼の免許証が入っている透明なカードポケットの裏側。
そこに、見知らぬ高齢女性の免許証が重なるように差し込まれていたのです。
そして、そのすぐ脇には、彼の財布には不釣り合いなほどの分厚い札束が見えました。
「……ねえ、その免許証、誰の?」
私の問いに、彼は一瞬だけ視線を泳がせましたが、すぐに悪びれる様子もなくこう言いました。
「ああ、これ?さっき駅のベンチに落ちてたんだよ。中身だけ頂戴して、カード類は後でどこかに捨てようと思ってさ。いやあ、ラッキーだったよ。結構な額が入ってたから、今日のディナー代くらい余裕だよ」
彼は、他人の落とし物を自分のものにする、いわゆる「ネコババ*をしていたのです。
しかも、それを「臨時収入」と呼び、あろうことか私へのプレゼントに充てようとしていました。
目の前の豪華なディナーが、急に泥のような味に感じられました。
困っているであろう持ち主の顔を想像することもせず、人の不幸を自分の幸運に変換できるその神経。
私には、どうしても理解できませんでした。
「ごめん、やっぱりこれ以上は一緒にいられない」
困惑する彼を置いて、私は自分の分の代金だけをテーブルに置き、店を後にしました。
お金で買える贅沢よりも、人として譲れない誠実さ。それを失っている人と未来を築くことは、私には到底できないと悟った夜でした。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。
GLAM Lifestyle Editorial
編集部
日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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