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「サークルで実績を残しました!」と語る就活生。だが、面接官の質問で嘘が露呈、実は…【短編小説】

本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
違和感の正体
採用担当として数多くの学生と向き合ってきましたが、今でも忘れられない面接があります。
目の前に座る彼女は、非常に聡明な表情で、自信に満ち溢れた口調で「実績」を語っていました。
「地域密着型サークルの代表として、大学のメインアリーナで大規模な交流イベントを主催しました。例年の1.5倍の集客を達成し、地域活性化に貢献した自負があります」
彼女の履歴書には、華やかな言葉が並んでいます。
しかし、私はある一点において、どうしても拭いきれない違和感を覚えました。
「それは素晴らしい活動ですね。ところで、そのイベントが行われたのはいつ頃ですか?」
「昨年の秋、11月です。準備に半年以上を費やしました」
私は手元の資料を置き、彼女の目を真っ直ぐに見つめました。
実は、私の娘が彼女と同じ大学に通う二年生なのです。
「おかしいですね。その大学のメインアリーナは、耐震補強と老朽化に伴う大規模な改修工事のため、一昨年の冬から丸二年間、ずっと閉鎖されているはずですが。娘も体育の授業や行事ができなくて困っていると、家でこぼしていましたよ」
崩れ去った自信
彼女の顔から、一瞬にして血の気が引いていくのが分かりました。
さっきまでの堂々とした態度はどこへやら、視線は泳ぎ、指先がかすかに震え始めています。
「あ、ええと……それは……アリーナではなく、その横の小さなスペースで……」
「あの場所も、資材置き場として完全に封鎖されていますよね?」
沈黙が流れました。
彼女は深く俯き、絞り出すような声で「……申し訳ありません」とだけ言いました。
実は、彼女の所属するサークル自体は存在していましたが、実際には目立った活動は行われていなかったようです。
「何もしなかった自分」を認めるのが怖くて、調べればすぐにわかるような嘘を、彼女はついてしまったのでしょう。
面接は、単なる実績の発表会ではありません。
これから一緒に働く「仲間」として、信頼を築ける人物かどうかを見極める場です。
実績が派手でなくても、自分が直面した課題にどう向き合ったか、不器用ながらも何を学んだかを誠実に語る学生の方が、私たちにとってはよほど魅力的に映ります。
嘘の城は、真実という一言で簡単に崩れ去ってしまうのです。
彼女が会場を後にした背中を見送りながら、私はただ、彼女がいつか「等身大の自分」を肯定できる日が来ることを願わずにはいられませんでした。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。
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