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「忌引きで休みます」と嘘をついてフェスに行った部下→テレビ中継に写り込んでしまい減給処分に【短編小説】

本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
忌引きで休むと報告する部下
会社でチームリーダーを任されている私には、入社三年目になる男性の部下がいます。
彼は明るいのが取り柄ですが、少し調子のいいところがあるのが玉にきず。
そんなある火曜日の朝、通勤中の私のスマホに彼からLINEの通知が届きました。
部下:「おはようございます。急で申し訳ないのですが、早朝に祖母が亡くなりました。本日から忌引きで休みます」
身内の不幸は誰にでも起こりうることです。私はすぐに返信を打ちました。
私:「それは大変だったね……。お悔やみ申し上げます。仕事のことは気にしなくていいから、最後のお別れをしてあげて」
部下:「ありがとうございます。急なことでご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いします」
このやり取りの後、私はチーム全員に事情を説明しました。
ちょうどプロジェクトの佳境で猫の手も借りたい忙しさでしたが、みんな「彼のために」と協力し合い、残業続きでなんとか穴を埋めました。
テレビに映っているのは
事件が起きたのは、その三日後のことです。
休日だった私は、自宅でランチを食べながらテレビをつけていました。
画面に映っていたのは、大人気の夏フェスの生中継。
「いいなあ、楽しそう」とぼんやり眺めていると、カメラが熱狂する最前列の観客をアップにしました。
「……えっ?」
持っていた箸が止まりました。
そこに映っていたのは、悲しみに暮れているはずの部下だったのです。
喪服ではなく派手なバンドTシャツを着て、首にタオルを巻き、カメラに向かって満面の笑みでピースサインをしていました。
見間違いようもありません。私は怒りを通り越して呆れながら、証拠としてその画面をスマホで撮影しました。
週明け、出社してきた彼は「この度はご迷惑をおかけしました……」と、演技たっぷりの神妙な顔で挨拶に来ました。
私は無言で彼を会議室に呼び出し、フェスでピースをしている写真を突きつけました。
「えっ、あ、いや……これは似ている人で……」
「生中継だったのよ。言い逃れはできないわよ」
私の言葉に、彼は顔面蒼白になり、ガックリと項垂れました。
結局、彼は嘘を認めました。チケットが当選し、どうしても行きたかったけれど有給が取れなさそうだったからと。
当然、この件は会社への重大な背信行為として処理され、彼は減給処分となりました。
それ以上に、チーム全員からの冷ややかな視線に、彼は今も居心地の悪さを感じているようです。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。
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