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「妻の飯マズいわ」と母に送るつもりが、妻に誤って送った夫。既読がついた直後、空気が凍りつく【短編小説】
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本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
夫からの謎のLINE
結婚して3年、私はもともと料理があまり得意ではありませんでした。
それでも彼のために料理教室に通い、少しずつレパートリーを増やして頑張っていたんです。
あの日も、彼のリクエストだった「肉じゃが」を食卓に並べました。
「うん、やっぱり君の味付けは落ち着くなあ。すごくおいしいよ」 彼は満面の笑みでそう言ってくれ、私はその言葉を信じて、「よかった、頑張った甲斐があったな」と心の中でガッツポーズをしていました。
事件が起きたのは、食事がひと段落し、彼が片手でスマホをいじり始めた直後のことです。
テーブルに置いてあった私のスマホが、短く振動しました。
画面を見ると、目の前に座っているはずの夫からの新着メッセージの通知が。
「え、なんで今LINE?」 不思議に思いながら、私は何気なくその通知を開きました。
そこには、目を疑うような3行のメッセージが並んでいたのです。
最低なLINE
「今日の肉じゃがもハズレだわ」
「正直、妻の飯マズいわ(笑)」
「今度母さんの手料理食べさせてよ」
頭の中が真っ白になり、思考が停止しました。
さっき「おいしい」と言っていたのは嘘だったの?
しかも、それを裏でお義母さんに報告して笑いものにしていたの? 私が無言でスマホを見つめたまま固まっていると、視界の端で夫がバッと顔を上げました。
私の凍りついた表情と、手元のスマホを見て、彼は瞬時に状況を悟ったようです。
「あ……」
夫の顔から血の気が引いていくのが分かりました。
そう、彼はお義母さんに送るはずの愚痴を、あろうことか間違えて私本人に送ってしまったのです。
部屋の空気が、音を立てて凍りつきました。
「ち、違うんだ! これは、その、母さんを喜ばせるための嘘で…!」 しどろもどろに言い訳をする夫の声が、遠くに聞こえました。
でも、私の心はもう完全に冷め切っていました。
料理の味のことよりも、笑顔で平気で嘘をつき、裏で母親と結託して私を嘲笑っていた事実が、どうしても許せなかったのです。
それ以来、私は彼のために料理を作るのを一切やめました。
今は夫がスーパーの半額惣菜を寂しそうに食べる横で、私は自分好みの美味しいデリバリーや料理を楽しんでいます。
だって「飯マズ」の妻に作ってもらうより、その方が彼にとっても幸せでしょうから。
口は災いの元と言いますが、誤送信は家庭崩壊の元。
みなさんも、パートナーの優しい笑顔の裏にある「送信先」には、どうぞご注意くださいね。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。
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