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「あの子、顔採用らしいよ」と噂をするお局→上司の思わぬ発言に、お局が恥をかいた理由とは【短編小説】

本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
不快な噂をするお局
「私の若い頃はもっと厳しかったわよ」が口癖の、職場のお局様。
彼女の機嫌一つで部署の空気が変わるため、私たち若手は常に彼女の顔色を伺いながら仕事をしていました。
そんなある日、部署に新しい女性社員が配属されました。
彼女は目を引くような美人で、控えめな性格。
男性社員たちが色めき立つのとは対照的に、お局様の目は厳しくなる一方でした。
「あの子、絶対に『顔採用』よ。見て、あの媚びるような目つき」 お局様はことあるごとにそう吹聴し、新人の彼女に対して「コピーの取り方が雑」「お茶の出し方がなってない」と、些細なことでネチネチと小言を繰り返していました。
新人の彼女は文句も言わず耐えていましたが、見ているこちらが辛くなるほどでした。
ある日の午後、お局様が上機嫌で上司である課長に話しかけていました。
話題はもちろん、新人の彼女のことです。
「課長も甘いんじゃないですか? 最近の子は顔だけで採用されて、実力が伴っていないことが多いですから。周りの士気が下がって困るんですよねえ」
課長の告げた事実
同意を求められた課長は、少し困ったような顔をして書類から目を上げました。
そして、悪気なさそうに、しかしハッキリとこう言ったのです。
「いやあ、それを君が言うとは意外だなぁ。実は先日、昔の人事資料を整理していたんだけどね」
課長は懐かしむように言葉を続けました。
「君の採用時の選考記録が出てきたんだよ。当時の社長のメモ書きが残っていてね。『筆記試験の点数は基準以下だが、愛嬌があって顔立ちが良い。職場の華として採用する』って書いてあったんだ。
つまり、君こそが我が社における『顔採用』の第一号だったんだよ。あ、ちなみに新人の彼女は筆記も実務試験もトップ通過だから安心してくれ」
その瞬間、オフィスに冷ややかな沈黙が流れました。
お局様の顔はみるみる青ざめ、次いでゆでダコのように真っ赤になりました。
「顔採用」と馬鹿にしていた相手は実力派で、実は自分こそが「能力不足の顔採用」だったと暴露されてしまったのです。
それ以来、お局様は借りてきた猫のようにおとなしくなりました。
かつて「職場の華」として期待されていた彼女ですが、今は静かに仕事に向き合っています。人を呪わば穴二つ、とはよく言ったものですね。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。
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