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「子供にお菓子配らないで」と怒る厳しいママ友。だが、ママ友の子供の一言に、空気が凍りつく【短編小説】

本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
食事に厳しいママ友
天気の良い休日、私は5歳の娘を連れて近所の公園へ遊びに行きました。
そこは多くの親子連れで賑わっていて、顔見知りのママさんもちらほら。
子供たちが遊び疲れてベンチで休憩し始めた頃、私は持参していた小分けのクッキーを取り出しました。 「みんなで食べようか」 私がそう声をかけて袋を開けると、子供たちが嬉しそうに集まってきます。
その時でした。
「ちょっと! 勝手なことしないで!」 鋭い声が公園に響き渡りました。
声の主は、最近このエリアに越してきたばかりの、少し教育熱心な雰囲気のママ友です。
彼女は慌てて駆け寄ると、自分の息子を私の手元から強引に引き離し、私を睨みつけました。
「うちは添加物とか白砂糖とか、すごく気を使ってるの。子供にお菓子配らないでくれる!? 正直、毒を盛られてる気分だわ」
周囲の空気が一瞬で張り詰めます。
確かにアレルギーや家庭ごとの方針はあるでしょうし、確認しなかった私にも非はあります。でも、みんなの前で「毒」とまで言われるとは……。
周りのママたちも気まずそうに下を向いています。
私は「すみません、確認するべきでしたね」と謝るしかありませんでした。 しかし彼女の怒りは収まらない様子。
「子供の味覚は繊細なの。親としての意識が低すぎるんじゃない?」と、さらに説教が始まろうとしたその時です。
彼女の手を握っていた息子くんが、そのクッキーを指さして無邪気な大声で言いました。
子供が告げた真実
「あ! でもママ。これ、ママが昨日の夜、台所の隅っこで隠れて食べてたやつと同じだよ?」
……え? その場にいた全員の動きが止まり、視線が一斉に彼女に注がれました。
息子くんはさらに続けます。 「いつも食べてるから僕、袋の絵でわかったよ! ママ、これ『あー止まらない、最高』って言いながらパパに内緒で食べてるじゃん! 僕も食べたい!」
サーッと血の気が引いていく彼女の顔。
あんなに威勢の良かった彼女が、口をパクパクさせて固まっています。
まさに、空気が凍りついた瞬間でした。
「ち、違うのよ、これは……大人の付き合いで……その……帰りましょう!」 彼女は息子くんを抱え上げると、逃げるように公園を去っていきました。
残された私たちは、笑っていいのかわからず、なんとも言えない空気に包まれました。
食へのこだわりはもちろん大切です。
でも、子供は親の背中(と、こっそり食べている夜食の現場)を、大人が思う以上に観察しているものですね。
完璧なママを演じるのも大変だなぁと、去っていく背中に少しだけ同情してしまった出来事でした。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。
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