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「俺の歌を聞け!」とカラオケを強要する上司。こっそり採点機能を入れると態度が一変。実は【短編小説】
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本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
カラオケが大好きな上司
「今日は朝まで帰さんぞ! 俺の歌を聞け!」
金曜の深夜、私は絶望の淵に立たされていました。
気分よく酔っ払った上司による、恒例のカラオケ祭りの開催です。
部下である私たちがタンバリンを叩いて盛り上げないと、翌週の機嫌が悪くなるという理不尽なオマケ付き。
いつものように密室で、耳をつんざくような大音量の演歌が始まりました。
「どうだ、このコブシ! 痺れるだろう?」 悦に入っている上司を見て、私の中で何かがプツンと切れました。 (もう、我慢の限界……)
私は機械をこっそり操作し、上司が最も嫌う「精密採点モード」を起動させました。
彼が目を閉じてサビを熱唱している隙を狙いました。
曲が終わり、静寂が訪れます。
上司は「ふぅ、決まったな」とドヤ顔で画面を見上げました。
『テテーン!』 間の抜けた効果音と共に表示されたのは、衝撃の数字。
『42点』
さらに画面には
「リズム感が行方不明」
「お経のようです」という無慈悲なコメント。
私たちが必死に笑いをこらえる中、上司は顔を真っ赤にして叫びました。
「こ、故障だ! この機械は壊れてる! 誰が歌ってもこんな点数になるに決まってる!」
圧倒的な実力差
その言葉を待っていました。
私はすかさずマイクを手に取りました。
「じゃあ、私が試してみますね。故障なら店員さん呼ばないといけませんし」
私は流行りのポップスを入れ、淡々と、しかし正確に歌い上げました。 結果は。
『96点』
画面には「プロ級の歌声」の文字。
「あ、あれ? 機械、直ったみたいですね」 私がニッコリ笑ってそう言うと、上司は口をパクパクさせ、まるで陸に上げられた魚のよう。
ぐうの音も出ないとはこのことです。
「……そ、そうか。うん、よかった」
上司は蚊の鳴くような声でそう言うと、そそくさとマイクを置き、逃げるようにトイレへ駆け込みました。
その後、席に戻ってきた上司は借りてきた猫のように大人しくなり、二度とマイクを握ろうとはしませんでした。
それどころか、「今日は俺が払うよ」と全額奢ってくれる始末。
実力という暴力でねじ伏せたあの夜の爽快感。採点機能、様々ですね。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。
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