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「台風でも這って来い」と精神論を振りかざす部長。だが、新卒のある一言に黙り込んだワケ【短編小説】

本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
「社会人なら這ってでも来い」台風前日に響く怒号
過去最大級の台風が接近し、ニュースでは連日「計画運休の可能性が高い」と報じられていた時のことです。
多くの企業がリモートワークを決める中、台風上陸前日の夕方、私たちの部長がフロア全員に向かって大声を上げました。
「おい、みんな聞け! 明日は電車が止まるかもしれんが、遅刻は一切認めんぞ! タクシーを使うなり、会社の近くに泊まるなりして、絶対に定時に出社しろ!」
不安そうな顔を見合わせる私たちをよそに、部長はさらにヒートアップ。
「甘ったれるな! 俺が若い頃は槍が降っても会社に行ったもんだ。社会人なら台風でも這って来い!」
と、時代錯誤な精神論を振りかざしました。
誰もが「無理だ」と思いつつも、部長の剣幕に押されて言い出せない重苦しい空気。
その時、今年入社したばかりの新卒社員が、スッと手を挙げました。
「今の発言、録音しました」新人の冷静な一撃
「部長、確認させてください。今の『這ってでも来い』という指示は、警報級の災害時でも社員の命より出社を優先しろ、という業務命令で間違いありませんか?」
静まり返るオフィスに、新人の澄んだ声が響きます。
「あ? 当たり前だろ!」
と怒鳴る部長に、新人はスマホの画面を向けて涼しい顔で言いました。
「わかりました。今の発言、すべて録音させていただきました。もし明日、無理に出社して怪我をしたり事故に遭った場合、安全配慮義務違反として、命令した部長個人が全責任を負ってくださるんですよね? この録音データを持って、人事と労基署に相談してきます」
「ろ、録音……!?」
部長の顔色が変わり、脂汗が滲み始めました。
「這ってでも来い」
というパワハラ発言の証拠を握られたと気づいたのです。
「……いや、あくまで心構えの話だ! 命が一番大事に決まってるだろ! 明日は全員、在宅勤務とする!」
慌てて前言撤回する部長に、フロア中から安堵のため息が漏れました。
理不尽な精神論も、現代の「コンプライアンス」と「スマホ」の前では無力だったようです。
翌日、私たちは安全な自宅で快適に仕事をすることができました。
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※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。
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