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「嫁は下座に移動しなさい」睨みながら言う義母。元々、下座に座ってた義父の一言に空気が一変【短編小説】

いびり姑の義母
義実家への帰省は、私にとって胃がキリキリと痛むイベントです。
原因は、典型的な「いびり姑」である義母の存在。
彼女は「嫁はこうあるべき」という昭和初期のような価値観を押し付け、事あるごとに私に嫌味を言ってくるのです。
ある年の夏、夫の実家に帰省した時のことです。
夕食の時間になり、親戚一同で食卓を囲むことになりました。
義父は昔気質の無口な人ですが、偉ぶらない性格で、いつも出入り口に一番近い「下座」に好んで座ります。
「ここなら台所が近くて、ビールのお代わりを取りに行きやすいからな」
というのが口癖です。
一方、義母は当然のように部屋の一番奥、床の間の前にある「上座」にふんぞり返っていました。
私は料理をすべて運び終え、自分の席を探しました。
義父の隣が空いていましたが、晩酌の邪魔をしてはいけないと思い、一つ席を空けて座ろうとしました。
その瞬間です。
「ちょっと! 何、上座に近い席に座ろうとしてるの?」
義母の鋭い声が飛びました。
「嫁の分際で生意気ね。嫁は下座に移動しなさいよ!お義父さんの横に座って、お酌なり配膳なりしなさいよ。これだから気の利かない嫁は……」
義母は私を睨みつけ、勝ち誇ったように言いました。
私は慌てて立ち上がりましたが、困ってしまいました。
義母が指差す場所は、義父が座っている場所のすぐ横、つまり「一番の下座」です。
「でも、そこだと狭いですし、お義父さんの晩酌の邪魔に……」
義父の屁理屈
私が言い淀んでいると、それまで黙ってビールを飲んでいた義父が、静かにグラスをテーブルに置きました。
そして、義母に向かって低い声でこう言ったのです。
「おい母さん。お前は俺のことを、この家の『使用人』だと思ってるのか?」
部屋の空気が一瞬で凍りつきました。
「えっ、あ、あなた? いや、そんなつもりじゃ……」
急に狼狽え始める義母。
義父は淡々と続けます。
「俺は好きでここに座ってるが、お前の理屈だと、ここは『一番身分が低い人間』の席なんだろ? つまり俺は、ふんぞり返っているお前より偉くないってことか? いつから俺はこの家の下っ端になったんだ?」
普段は温厚な義父の強烈な正論カウンターに、義母は顔面蒼白。
「めっ、滅相もございません!」
と首を激しく振るばかり。
義父はニヤリと笑い、私に手招きしました。
「〇〇さん(私)、気にせずわしの横に座りなさい。今日はわしが酌をしてやるから」
後日談です。
その日以来、義母は「席次」という言葉を口にしなくなりました。
自分の発言がブーメランとなって「家庭内権力」を揺るがすことを恐れたようです。
実は義父、私のためにわざと屁理屈を言って助けてくれたそうで、帰り際にこっそりウインクをしてくれました。
無口だけど頼れる義父の隣は、今では私にとって一番居心地の良い「特等席」になっています。
本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
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※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。
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