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部下「始末書提出しました」と報告LINE。帰社後、私が見た部下からの最悪な置き土産とは【短編小説】

モンスター社員
中間管理職という立場は、時に理不尽なことの連続です。
私がリーダーを務める営業チームには、頭の痛い種が一つあります。
それは入社二年目の男性部下、A君の存在です。
彼は遅刻常習犯で、注意すれば「あ、はい」と生返事。
そのくせ、権利だけは一人前に主張する、いわゆる「モンスター社員」予備軍でした。
ある日、彼が顧客への連絡を怠ったことで大きなトラブルが発生しました。
私は彼を厳しく叱責し、始末書を提出するよう指示をだしました。
その後、私は別のトラブル対応で外出することになったので、外出先からA君に、
「始末書はわかるところに置いておいて」と連絡を入れておきました。
夕方、スマートフォンが震えました。A君からのLINEです。
『始末書、デスクに置きました。定時なんで帰ります』
相変わらずの短文にイラっとしましたが、彼なりに反省して書いたのなら良しとしよう。
そう思い直し、「わかった」と一言返信し、私は会社に戻りました。
最悪の置き土産
静まり返ったオフィス。私のデスクの中央には、確かに白い封筒が置かれていました。
「どれどれ……」 封筒を手に取った私は、中身を見て絶句しました。
そこに入っていたのは始末書ではありません。
『退職届』
と書かれた紙が一枚、入っていたのです。
「……なるほど、逃げたのね」
呆れてため息をついた直後、その封筒の下に、もう一つ「メモ書き」があることに気づきました。
これこそが、彼が残した最悪の置き土産でした。
メモには、殴り書きでこう書かれていたのです。
『辞めるんで、腹いせにPCの共有フォルダのデータ、全部消しておきました。復旧頑張ってください』
私は血の気が引くのを感じ……ませんでした。
代わりに、ふつふつと笑いがこみ上げてきたのです。
「A君……うちの会社、先月から完全クラウド化して、自動バックアップ取ってるの知らなかったっけ?」
彼はITに疎く、システムの変更説明会も寝ていたのでしょう。
私はすぐにIT担当に連絡し、数分でデータを復旧させました。
後日談ですが、A君は「自己都合退職」で逃げ切るつもりでしたが、この暴挙により「懲戒解雇」となりました。
当然、退職金は出ませんし、再就職も困難になるでしょう。
さらに会社からは損害賠償請求も検討されています。
彼が残した「最悪な置き土産」は、皮肉にも彼自身を破滅させる「決定的な証拠」となったのでした。
本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
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※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。
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