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上司「会議中に何してるんだ!」→だが、映ってしまった上司のパソコンの画面が問題だった【短編小説】
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恐怖のリモート定例会議
テレワークが定着して早数年。
自宅で仕事ができるのは快適ですが、私の部署にはひとつだけ大きなストレスの種があります。
それは、毎週火曜に行われる上司主催のオンライン定例会議です。
この上司、とにかく細かい上に短気。
「画面越しだと熱意が伝わらない」というのが口癖で、何かにつけて精神論を振りかざしてきます。
その日の会議も、すでに予定時間を30分オーバーしていました。
画面に映る上司は眉間にしわを寄せ、売上の進捗が悪いことに対して延々とお説教を続けています。
「……というわけで、君たちの気合いが足りないんだ!」
私は長引く話に少し疲れを感じ、手元のメモ帳に視線を落としました。
ほんの一瞬、ボールペンのインクの出を確認しようとしただけでした。しかし、その瞬間です。
「おい! そこの君! 会議中に何をしているんだ!」
イヤホンをつんざくような怒鳴り声。心臓が跳ね上がりました。
恐る恐る画面を見ると、上司が鬼のような形相でカメラを睨みつけています。
「あ、いえ、あの、メモを……」 「言い訳をするな! 下を向いて遊んでいたんだろう! 今、私が重要な話をしているのが分からないのか!」
怒りの画面共有、その結末
上司の怒りは収まりません。 「いいか、今の現状がいかに危機的か、数字を見て理解しろ! 言葉で言っても分からないなら、これを見れば目が覚めるだろう!」
上司はそう言うと、勢いよく「画面共有」のボタンを押しました。
本来なら、全社の売上管理表のエクセルが映し出されるはずでした。
しかし、私を含め、参加していた部下全員の時が止まりました。
共有された画面に映し出されていたのは、数字の羅列ではありません。
緑色の背景。
並べられたトランプ。 それは、ゲームの真っ最中で一時停止された「ソリティア」の画面でした。
しかも、かなりいいところまで進んでいます。
「見ろ! この右肩下がりの……ん?」
上司は自分の画面を見て、言葉を詰まらせました。
私たち部下は、誰も声を上げられません。
「部下に説教しながら、裏でトランプ並べてたんですか?」なんて、口が裂けても言えないからです。
画面の中のマウスポインタが、慌てふためくように右往左往し、ソリティアの画面を閉じようとして逆に全画面表示にしてしまうというパニックを起こしました。
「あ、いや、これは……ウイルスか? なんだこれは! 誰だ私のパソコンを操作しているのは!」
苦しすぎる言い訳が響き渡った直後、ブツン! という音とともに会議は強制終了されました。
上司が電源ごと落としたようでした。
その後、チャットツールで「回線トラブルのため本日は解散」という短い連絡が入りました。
それ以来、上司の会議は驚くほど短く、そして穏やかになったのです。 叱る時は、まず自分の画面を確認してからにしてほしいものですね。
本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
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※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。
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