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「親の介護は施設に入れたほうが楽」と言ってた姉が、一人部屋の隅で泣いていた理由【短編小説】

親の介護は施設に入れたほうが楽と言ってた姉が一人部屋の隅で泣いていた理由短編小説

姉の冷たい一言

私の姉は、昔から現実的で、とてもしっかりした人でした。
だから、母の介護が必要になったときも、姉の言葉ははっきりしていました。

「親の介護は施設に入れたほうが楽よ」

家族会議の場で、姉はそう断言しました。

私は、その一言がとても冷たく聞こえました。
もう少し、家でできることがあるんじゃないか。どうしてそんなふうに、突き放すように言えるんだろう。
私は、そんな姉の「割り切り」に、心の中で少し反発していました。

でも、実際に大変な手続きや、いくつもの施設を回って見学し、費用を計算し、役所と交渉する…そのすべてを引き受けていたのは、姉でした。
私は仕事にかまけて、その「面倒な部分」から目をそらしていたのかもしれません。姉はいつも通り、淡々と物事を進めているように私には見えました。

ついに施設へ

先日、ついに母が施設に入る日が決まりました。 私は最終確認のために、仕事帰りに姉のマンションを訪ねました。
チャイムを鳴らしても応答がなく、鍵が開いていたので「お邪魔します」と声をかけて、そっと中に入りました。

リビングに人影はなく、明かりがついていた奥の部屋へ行くと……姉はいました。

部屋の隅で、電気もつけず、膝を抱えて、声を殺して泣いていたのです。
机の上には、山積みの書類。施設の契約書、銀行の通帳がいくつも。そして、一枚の写真立て。そこには、若かった頃の母と、幼い私たち姉妹が、満面の笑みで写っていました。

姉は、私の気配に気づくと、慌てて涙を拭いました。

「ごめん……。楽だって、言ったのにね。私が」

「……ううん」

「本当はね、全然、楽じゃなかった。でも、私がしっかりしなきゃって。私が『楽だ』って決めつけなきゃ、きっと全部が崩れそうだった」

姉は、「楽だから」施設を選んだのではありませんでした。 家での介護が限界に達し、母にとっても、そして私たち家族にとっても最善の道は何かと悩み続けた結果だったのです。
その重い決断のすべてを、姉は「楽」というたった一言で覆い隠し、たった一人で背負い続けていました。

あの「楽」という言葉は、誰より優しく、責任感の強い姉が、自分自身を必死で奮い立たせるために言い聞かせた、悲しいお守りだったのです。

 

本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。

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※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。

 

 

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