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家賃の滞納を「振り込んだつもりだったんだけど」と嘘の言い訳をする住人に突きつけた証拠とは【短編小説】

家賃の滞納を振り込んだつもりだったんだけどと嘘の言い訳をする住人に突きつけた証拠とは短編小説

「振り込んだつもり」という常套句

私はアパートの管理会社で働いています。 日々の業務は多岐にわたりますが、その中でも特に気が重いのが、家賃の催促業務です。

今月も、入金予定日を過ぎても家賃が振り込まれていない部屋がありました。302号室の小林(こばやし)さんです。

小林さんの滞納は、これで2ヶ月連続。さすがにこれ以上は見過ごせません。

私はため息を一つ飲み込み、小林さんの携帯電話に連絡を入れました。コール音が数回鳴った後、のんびりとした声が聞こえてきます。

「あ、もしもし。五十嵐さん? どうも。家賃のことですよね?」

「はい、五十嵐です。恐れ入りますが、今月分のお家賃がまだ確認できておりませんでして…」

「え? あー、そうでしたっけ。いや、もう振り込んだはずなんですけどねぇ」

出ました。「振り込んだはず」滞納する方がよく使う言葉の一つです。

「先週の金曜あたりに、ATMで振り込んだつもりだったんだけど…。おかしいなぁ」

「つもり」、ですか…。私はぐっとこらえ、冷静に続けます。

「小林さん、申し訳ないのですが、お手元の振込明細などで、もう一度ご確認いただくことは可能でしょうか? こちらでは今朝の時点でも、まったく入金が確認できていない状況です」

すると、小林さんは少し面倒くさそうに言いました。

「えー? こっちはちゃんとやったんだけどなぁ。そっちの銀行の手違いとかじゃないですか?」

あっけらかんとしたその口調に、私の堪忍袋の緒が切れそうになるのを必死で押さえました。

「銀行の手違い、ですか…」

これ以上、電話で水掛け論を続けても無駄だと判断しました。私は「最終手段」を持って、小林さんの部屋を直接訪問することに決めたのです。

決定的な証拠が暴いた「嘘」

ピンポーン。チャイムを鳴らすと、少し寝癖がついた小林さんが、眠そうな顔でドアを開けました。

「あ、どうも。だから、振り込んだって…」

「小林さん」

私は彼の言い訳を遮るように、持参したファイルをバサッと開きました。

「何度もすみません。こちらをご覧ください」

私が彼に突きつけたのは、弊社の管理用口座の「通帳のコピー」です。今朝、銀行で記帳してきたばかりの、最新のページ。

「こちらが、先週の金曜日から本日までの、すべての入金記録です。ご覧の通り、小林さんのお名前での入金は、残念ながら一件も記載がありません」

通帳のコピーを穴が開くほど見つめる小林さんの顔が、みるみる青ざめていくのが分かりました。

「『振り込んだつもり』ではなく、確実に振り込んでいただいたのなら、必ずここに記録が残ります。銀行の手違いという可能性は、まずありえません」

「……」

「どういうことか、ご説明いただけますか?」

静かに、しかし強く問い詰めると、小林さんはついに観念したようでした。うつむいたまま、小さな声で言います。

「……すみません。今月、ちょっとお財布が厳しくて…。あの、すぐ振り込みます」

「今月中、ではなく、『本日中』にお願いします。次はありませんよ」

そう釘を刺すと、彼は「はい…」と力なく頷きました。

結局、小林さんはその日の夕方、慌てて2ヶ月分の家賃を振り込んできました。どんなに言い訳を重ねても、動かぬ証拠の前では無意味です。

通帳の記録が、彼の「つもり」という嘘をすべて暴いてくれました。

本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。

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※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。

 

 

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