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「嘘つくの、下手だな。顔に出てた」別れてから付きまとう元彼。本当に決別した最後の瞬間とは【短編小説】

元彼とのLINE
日曜の夜、23時58分。
灯りを落とした部屋に、LINEの通知音がひとつ響いた。
画面には「悠人」の名前。
別れて二ヶ月になる元彼だ。
悠人:元気?
悠人:この時間にごめん。ちょっとだけ話せる?
指先が止まる。
一度は全部ブロックしたはずなのに、数日前、なぜか解除していた。
“元気?”
その二文字に、心がざわつく。
紗季:どうしたの?
悠人:今日、駅前で見かけた。誰かといたね。
(またそれ……)
別れたあとも、彼はときどき偶然を装って現れた。
でも今日は、本当にただの同僚とすれ違っただけ。
紗季:仕事の人だよ。気にしないで。
悠人:嘘つくの、下手だな。顔に出てた。
ため息をついてスマホを伏せる。
もう、こんなやり取りに意味なんてない。
なのに指が勝手に動いた。
紗季:もう過去のことにしようよ。お互い。
悠人:俺はまだ、過去にできてない。
短い沈黙
既読がついたまま、数分の間が空く。
部屋の時計が0時を過ぎたころ、またメッセージが届く。
悠人:最後に会いたい。五分でいい。ちゃんと終わらせたい。
紗季:無理。
悠人:玄関の前にいる。ドア、開けて。
心臓が跳ねた。
(嘘でしょ……?)
玄関に目を向ける。
たしかに、ドアの向こうで何かが動く音がした。
紗季:やめて。帰って。
悠人:誕生日、おめでとう。置いておくから。
ドアの隙間から、足音が離れていく。
恐る恐る覗くと、玄関マットの上に小さな箱。
中には、去年ふたりで選んだブレスレットと、折りたたまれたメモ。
「これで本当に終わりにする。
ごめん。幸せになって。」
震える手でスマホを開く。
紗季:ありがとう。私も、ごめんね。
送信した瞬間、画面の下に表示された文字。
“このアカウントは存在しません。”
紗季はスマホを胸に抱き、目を閉じた。
夜がゆっくりと、静かに終わっていく。
本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
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※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。
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