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「やましいことは何もないから」一度は不倫を許した夫。そんな夫がスマホに鍵をかけた理由とは【短編小説】

私が「再構築」を選んだ理由
夫、翔平の不倫がわかったあの日、私はこの世の終わりかと思うほど泣きました。
ですが、必死に謝る翔平を見て、「もう一度だけ」と彼の手を取ることを決めたのです。
幼い息子の慎一のためにも、家族を壊したくありませんでした。
それから半年。
私たち家族は、表面上は穏やかな日常を取り戻していました。
翔平は以前より早く帰り、家事も手伝ってくれるようになりました。私も、その努力を信じようと必死でした。
「もう大丈夫」、そう自分に言い聞かせる毎日でした。
あの日までは。
金曜の夜、リビングで慎一が寝入った後、翔平は「ちょっと飲み物を取ってくる」とキッチンへ立ちました。
テーブルの上に無造作に置かれた、彼のスマホ。ふと視線を向けた瞬間、私は息を飲みました。
夫のスマホにかけられた「鍵」
画面が暗転する直前、そこには見慣れない「パスコードを入力」の文字が光っていたのです。
ロック……? 以前の翔平は、スマホにロックなどかけていませんでした。
むしろ、私がいつでも見られるように「やましいことは何もないから」と笑っていたくらいです。
その瞬間、忘れたはずの「あの日」の記憶が、冷たい水のように背筋を伝わりました。
あの時も、彼はスマホをお風呂場にまで持ち込み、片時も手放しませんでした。
そして私が見てしまった、あの生々しいメッセージのやり取り……。
「うそ……」 心臓が嫌な音を立てて鳴り始めます。
キッチンから戻ってきた翔平が、私の強張った顔を見て「どうした、彩夏?」と不思議そうに首を傾げました。
「そのスマホ、ロックかけたの?」
震える声で尋ねるのが精一杯でした。
翔平は一瞬だけ目を泳がせ、すぐにいつもの笑顔に戻りました。
「ああ、これ? 最近、会社のセキュリティ研修でうるさくてさ。個人情報保護だって」
彼はそう言ってスマホを手に取り、慣れた手つきでロックを解除しました。
信じたい。
彼の言葉を、今度こそ信じたいのです。でも、私の目には、あの日の悪夢が焼き付いています。
ロック画面一つで、こんなにも簡単に崩れてしまう脆い信頼。「信じる」と決めた私の決意は、どこへ行ってしまったのでしょう。
翔平が誰かとメッセージを打つその指先を、私はただ黙って見つめていることしかできませんでした。
本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。
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