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「坊や。今の言葉、どこで覚えたの?」亡くなった祖父の口癖を知っていた謎の子供【短編小説】

坊や今の言葉どこで覚えたの亡くなった祖父の口癖を知っていた謎の子供短編小説

亡くなった祖父の口癖

私の名前は高橋美咲です。
三ヶ月前、祖父の健一(けんいち)が亡くなりました。
祖父は昔気質の無口な人でしたが、一つだけ不思議な口癖がありました。

「月が満ちれば、道は開ける」

家族が何かに悩んでいる時、祖父は決まってこの言葉を呟くのです。
誰に教わったのか、どういう意味なのか、結局聞けないままでした。

先日、仕事で大きなミスをしてしまい、私はひどく落ち込んでいました。
気分転換に近所の公園のベンチに座り、深いため息をついた、その時です。

「つきがみちれば、みちはひらける…」

すぐ近くの砂場で遊んでいた小さな男の子が、はっきりとそう言ったのです。
まさか。空耳ではありません。何度も聞いた、祖父の言葉そのものでした。

祖父の口癖を真似する子供

心臓がドキリと音を立てました。
私は恐る恐るその子に近づきました。 「ねえ、坊や。今の言葉、どこで覚えたの?」

男の子はきょとんとした顔で私を見上げました。
「え? わかんない。おじいちゃんが言ってた」

おじいちゃん? 私の祖父は、晩年はほとんど病院のベッドの上でした。
こんな幼い子と会う機会があったとは、到底思えません。

そばで見守っていた男の子のお母さん、聡子(さとこ)さんが慌ててやってきました。
「すみません、この子、時々変なことを覚えてきて…」

私は事情を説明しました。
「いえ、実はその言葉、亡くなった私の祖父の口癖なんです。あまりにそっくりだったので…」

聡子さんは私の祖父の名前を尋ね、私が「健一です」と答えると、目を見開きました。

「高橋健一さん…。もしかして、先々月、中央病院の305号室に…?」

驚いたことに、聡子さんの義理のお父様、浩司さんも、同時期に同じ病室に入院されていたというのです。私の祖父の、すぐ隣のベッドでした。

聡子さんは言いました。
「主人の父(浩司さん)がすっかり元気をなくしていた時、隣のベッドの高橋さん(私の祖父)が、何度も励ましてくださったそうなんです。『月が満ちれば、道は開ける。きっと大丈夫ですよ』と」

男の子、蓮(れん)くんは、自分のお祖父さんのお見舞いに来るたび、病室で交わされるその言葉を耳にし、いつの間にか覚えてしまったのでした。

無口だと思っていた祖父が、最期を過ごした場所で、見知らぬ人を静かに勇気づけていた。
その優しさが、巡り巡って、今いちばん落ち込んでいる私の元に届いたのです。

「月が満ちれば、道は開ける」

祖父が、時を超えて私を励ましてくれた気がしました。
私は蓮くんと聡子さんに深くお礼を言い、少しだけ軽くなった足取りで公園を後にしました。

 

本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。

 

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※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。

 

 

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