Share
スーパーで「見切り品買うなんて貧乏」と笑われた私。その人が半額シールを必死に探していた【短編小説】

割引シールの商品を取ろうとしたら…
私の名前は智美(ともみ)です。
仕事帰りのスーパーで、週末の夕食の買い物をしていた時のことでした。
その日は少しだけ贅沢をしようと、国産牛のコーナーを眺めていると、ちょうど店員さんが「3割引」のシールを貼っているところに遭遇しました。
これはラッキー、と迷わずそのお肉をカゴに入れようとした、まさにその瞬間です。
「あら、智美さんじゃない?」
聞き覚えのある、少し甲高い声に振り向くと、そこにいたのは以前の職場の同僚、絵里香(えりか)さんでした。
彼女はいつも流行のブランド物で身を固め、「この間の週末はホテルのディナーで…」などと、自分がいかに充実しているかを話すのが好きな人でした。
絵里香さんは私のカゴの中をチラリと見ると、あからさまに眉をひそめ、軽蔑したような笑みを浮かべました。
「えー、見切り品なんて買うの?智美さん、意外と庶民的なんだね。そういうのって、なんか貧乏くさくない?私は絶対に無理だなあ」
その見下したような言葉に、カッと頭に血がのぼりました。
見切り品を買うのは、食費を賢く抑えるための工夫であって、決して恥ずかしいことではないはずです。
しかし、ここで言い返しても面倒なだけだと思い、「節約も大事だからね」とだけ返し、足早にその場を離れました。
お惣菜コーナーにいたのは…
しばらくして、お惣菜コーナーを通りかかった時のことです。
棚の陰で、誰かが商品を何度も手に取っては戻し、落ち着きなく辺りを見回しているのが見えました。こんな時間にお目当てのものを探しているのかな、と何気なく目をやると、その人物に見覚えがありました。
絵里香さんでした。
彼女は周りの視線を異常に気にしながら、店員さんが半額シールを貼っていくのを、獲物を狙う鷹のような鋭い目つきで追いかけていました。
そして、お弁当やお惣菜にシールが貼られた瞬間、恥も外聞もないといった様子で素早く手を伸ばし、誰よりも早くそれを数個カゴに放り込んでいったのです。
さっき、あれだけ見切り品を馬鹿にしていた人が…。
その必死な様子は、私のささやかな「節約」とは全く違う、切羽詰まった執念のようなものを感じさせました。
人の価値観を笑う人ほど、実は自分の方が世間体や見栄に縛られて必死なのかもしれない。
私はなんだかおかしくなってしまい、心の中で小さく笑いながら、自分のカゴに入った3割引のお肉を、誇らしい気持ちで見つめ直しました。
本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。
【あわせて読みたい】
「推し活、最新トレンド2025年!デジタル証券という選択肢に注目」
Feature
おすすめ記事