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温泉旅行で「高いだけで価値ない」と言った友人。数年後、その宿が予約困難で取れなくなった【短編小説】

温泉旅行で高いだけで価値ないと言った友人数年後その宿が予約困難で取れなくなった短編小説

旅行先で言われたある一言

私の名前は栞。
数年前、友人の玲奈と、山奥の温泉旅館へ旅行に行った時のことです。

私が選んだのは、派手さはないけれど、歴史と、趣のある、老舗の宿。
しかし、流行に敏感な玲奈は、その宿が、どうにも気に入らないようでした。

「この宿、なんでこんなに高いの?古いし、地味だし…。正直、高いだけで、価値、なくない?」

部屋でくつろいでいると、彼女は不満そうにそう言いました。
私にとっては、静かな時間や、上質な温泉こそが「価値」でしたが、彼女にはそれが理解できなかったのです。

地味と言われた宿の現在

それから、数年が経ちました。

先日、その玲奈から、久しぶりに電話がかかってきました。
なんでも、恋人の誕生日に、特別な宿をプレゼントしたいと。

「栞の知ってる、どこか、本物って感じの、良い宿、ないかな?」

私はふと思い出し、あの時の温泉旅館を彼女に勧めました。
「あんな地味な宿…」と、彼女は、最初は、渋っていました。
しかし、念のためと、スマホでその宿の名前を検索し始めたのです。

電話の向こうで、彼女が、息を呑むのが分かりました。

『うそ…!栞、あの宿、今、とんでもないことになってるよ!』

聞けば、私たちが泊まった後、その宿は有名な雑誌で特集され、一躍人気に火がついたというのです。
今では、数ヶ月先まで、予約が全く取れない、「予約困難」な宿として、名を馳せていると。

『あんな地味な宿がねえ…。』

電話の向こうで、心底悔しそうに、そう呟く玲奈。

彼女が「価値がない」と切り捨てた、あの宿。
その、静かで、本質的な価値に、世間が、ようやく、追いついたのです。
流行にしか興味のなかった彼女が、その価値に気づいた時には、もう手の届かない存在になっていました。

本当の価値とは何か。
その答えを、彼女の、悔しそうな声を聞きながら、私は、静かに、噛みしめていたのでした。

本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。

 

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※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。

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