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遊園地で「泣く子どもを連れてくるな」と言われた私。→その人の孫が泣き叫んでいた【短編小説】

娘と初めての遊園地
私の名前は恵。三歳になる娘の陽菜を連れて、初めて遊園地へ遊びに行った日のことです。
陽菜は、目をきらきらさせながら、一日中、元気に走り回っていました。
しかし、夕方になり、疲れが出てきたのでしょう。
人気アトラクションの長い列に並んでいると、ぐずりだし、とうとう泣き出してしまったのです。
私は、周りの方に「すみません」と頭を下げながら、必死に陽菜をあやしていました。
その時です。後ろに並んでいた年配の女性が、聞こえよがしに、こう言い放ったのです。
『まったく、泣くような小さい子を、こんな場所に連れてくる親の気が知れないわ。周りの迷惑も考えられないのかしら』
その言葉は、冷たい矢のように、私の胸に突き刺さりました。
悔しさと、申し訳なさで、顔が熱くなるのを感じます。
私は、ただ、娘を強く抱きしめることしかできませんでした。
突如、甲高い絶叫…
それから、一時間後のことです。
楽しかった一日の思い出にと、お土産物屋さんをのぞいていた、その時。
店内に、子どもの甲高い絶叫が響き渡りました。
「いやー!そっちじゃない!これがいいー!」
見ると、床に寝転がって、手足をばたつかせながら、火がついたように泣き叫んでいる男の子がいます。
その傍らで、「やめなさい!」と必死になだめているのは、先ほど、列で私を非難した、あの女性でした。
会話を聞いていると、お孫さんとのこと。
私の娘の、疲れからくるぐずり泣きとは、比べ物にならないほどの、すさまじい癇癪でした。
周りのお客さんたちも、あからさまに、迷惑そうな顔を向けています。
狼狽する彼女と、ふと、目が合いました。
彼女は、はっとしたように私の顔を見ると、気まずそうに、さっと視線を逸らしたのです。
子どもは、いつ、どこで、どんな理由で泣き出すか、誰にも予測できません。
今日はおとなしくても、明日は大泣きするかもしれない。子育てとは、その繰り返しです。
私は、何も言わず娘の手を引いて、静かにその場を離れました。
他人を批判した、その舌の根も乾かぬうちに、今度は、我が身に、特大のブーメランが突き刺さった彼女。
その背中が、なんだか、とても小さく見えました。
本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。
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