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玄関先に「花の水やりで迷惑」と張り紙された私。→原因は隣人のエアコン排水だった【短編小説】

近隣からの見覚えのないクレーム
私の名前は亜美。
マンションの玄関先で、ささやかなガーデニングを楽しむのが、日々の癒やしです。
うだるような暑さが続いていた、去年の夏のこと。
仕事から帰宅した私を待っていたのは、玄関のドアに、乱暴な字で書かれた一枚の張り紙でした。
『花の水やりで、毎日廊下が濡れて迷惑しています。すぐにやめてください』
匿名でしたが、送り主は、隣に住む木村さんで間違いないでしょう。
彼女は、日頃から些細なことに文句をつけてくる、少し気難しい方でした。
私は、水やりの際には、水がこぼれないよう、細心の注意を払っていました。
全く、身に覚えがありません。
しかし、その張り紙をきっかけに、私は、自分の行動を、何度も何度も、疑心暗鬼の中で振り返るようになりました。
それからも、状況は変わりませんでした。
「迷惑だ」という張り紙は、日に日に、その文面を攻撃的にしていきます。
私は、精神的に、すっかり追い詰められてしまいました。
クレームの原因は…
ある休日の午後、私は、意を決して、その原因を突き止めることにしたのです。
じっと、玄関の廊下を観察し続けました。
すると、夕方になった頃、驚きの光景が、私の目に飛び込んできました。
隣の木村さんの部屋の壁から、ちょろちょろと、水が染み出しているのです。
その真上には、一日中、フル稼働していたであろう、エアコンの室外機。
原因は、明らかでした。
室外機から伸びる排水用のホースが、きちんと処理されておらず、エアコンから出る大量の結露水が、壁を伝って、ちょうど私の玄関の前に、水たまりを作っていたのです。
私が「花の水やり」で濡らしている、と彼女が決めつけていた水は、何を隠そう、彼女自身の家の、エアコンの排水だったのです。
私は、その様子を、スマホの動画で撮影しました。
そして翌日、管理人である渡辺さんに、その映像を見せ、事情を説明したのです。
渡辺さんと共に、木村さんの部屋を訪ねました。
動かぬ証拠を突きつけられた彼女は、みるみるうちに顔を真っ赤にし、やがて、観念したように、深く、深く、私に頭を下げました。
『大変、申し訳ありませんでした…』
その後、彼女が、私に文句を言ってくることは、二度とありませんでした。
根拠のない思い込みで他人を責め立てた、その結末。
あまりにも、皮肉なものでした。
本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。
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