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上司「君の代わりはいくらでもいる」。“ある資格”を取って転職したら逆に頭下げられた話【短編小説】

「高橋さん、その仕事、誰でもできるからね」
「君の代わりはいくらでもいる」
私が勤める会社の山田課長は、何かにつけて私にそう言い放ちました。
一般事務として働く私にとって、その言葉は自分の存在価値を全否定されるような、鋭いナイフでした。
毎日同じことの繰り返しでやりがいを感じられず、給料も上がらない。将来への漠然とした不安と、課長の心無い言葉に、私の自尊心は日に日に削られていきました。
決定打となったのは、課長が自分のミスを私のせいにし、大勢の前で「こんな簡単なこともできないのか!」と私を叱責した日です。
悔しくてトイレで一人で泣いていた時、私は震える手でスマホを取り出し、無意識にこう検索していました。
「女性 おすすめ 資格」
画面に並んだ資格の数々を見ているうちに、涙で滲んでいた視界の先に、ひとすじの光が差したような気がしました。
「私だって、やればできるはず。誰にも奪われない、自分だけの武器が欲しい!」
私の人生を変えた、1年間の猛勉強
その日から、私の生活は一変しました。
将来性と専門性を考え、私は国家資格である「キャリアコンサルタント」の取得を決意。会社には内緒で、平日の夜と週末のすべてを勉強に捧げる日々が始まりました。
山田課長からの嫌味も、飲み会の誘いも、「資格を取って、絶対に見返してやる」という強い意志の前では、気にならなくなりました。新しい知識を学ぶことは驚くほど楽しく、自分の視野がどんどん広がっていくのを感じました。
そして1年後。私は難関とされる試験に、見事一発で合格したのです。合格証書を手にした時、それは単なる紙切れではなく、私が自分の力で未来を変えるための「切り札」に見えました。
最高の逆転劇と、痛快な後日談
私はその資格を武器に、すぐに転職活動を開始。キャリアコンサルタントとして、今より遥かに好条件の大手人材会社から、あっさりと内定をもらいました。
山田課長に退職届を提出すると、彼はいつものように嘲笑います。
「ふーん、辞めるんだ。どうせロクな所じゃないんだろ」
私は、最高の笑顔で答えました。
「はい、大手人材会社でキャリアコンサルタントとして働くことになりました。山田課長、今までありがとうございました。おかげさまで、私にしかできない仕事を見つけることができましたので」
そう言って、合格証書のコピーを彼のデスクにそっと置くと、課長の顔がみるみるうちに青ざめていくのが分かりました。
そして、数ヶ月後。私の会社用の電話に、一本の連絡が入りました。それは、会社の業績悪化でリストラ対象になり、再就職に困り果てた、かつての上司…山田課長からでした。
彼は、私の転職先とは知らずに、私の会社に登録しに来ていたのです。
「た、高橋さん…いや、高橋先生。私のキャリアについて、ご相談に乗っていただけないでしょうか…」
電話口で聞こえる情けない声に、私はマニュアル通り、最高のビジネススマイルでこう答えました。
「はい、喜んで。まずは、こちらのサイトからご予約をお願いいたします」
あの日の悔し涙が、私に新しい扉を開く勇気をくれました。「代わりはいくらでもいる」と言われた私が、今では「あなたにお願いしたい」と言われる立場になれたのです。
もし、今の仕事や将来に少しでも不安を感じているなら、何か一つ、自分の武器になる「資格」について調べてみるのがおすすめです。それは、お守りのように、きっとあなたの未来を守ってくれます。自分を変えるきっかけは、案外すぐそこにあるのかもしれません。
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【編集部注】
本記事は、資格取得をテーマにした創作の小説であり、登場する人物や団体、出来事はすべて架空のものです。記事内で描かれている資格取得による転職やその後の展開は物語上の演出であり、同様の結果を保証するものではありません。
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