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「あなたって地味で冴えないよね」と言ってきた元カノのいる飲み会。→“ある男の登場”で空気が一変した瞬間。【短編小説】

あなたって地味で冴えないよねと言ってきた元カノのいる飲み会→ある男の登場で空気が一変した瞬間短編小説

飲み会の雰囲気を台無しにする彼氏の”元カノ”

私の彼氏である大樹は、少し口下手で、ファッションにも疎い人です。
でも、その誠実で優しい人柄に惹かれ、私は彼との穏やかな日々に満足していました。
そんなある日、共通の友人の飲み会に、大樹の元カノだという玲奈さんも来ることになったのです。

玲奈さんは、華やかな見た目と高いコミュニケーション能力で、場の中心にいるような女性でした。
彼女は、私と大樹の姿を値踏みするように見た後、意地の悪い笑みを浮かべて口を開きました。

「へえ、大樹って全然変わらないんだね。昔から地味で冴えないと思ってたけど、今も健在って感じ?恵美さんも、よくこんな退屈な男で満足できるよね」
周りの友人が気まずそうにする中、玲奈さんの言葉は止まりません。
大樹は「はは…」と困ったように笑うだけ。
私は悔しくて唇を噛み締めましたが、お祝いの席を壊したくなくて、何も言い返せずにいました。

スーツで現れた”ある男”

会が終盤に差しかかった頃です。
カラン、とドアベルが鳴り、一人の男性が店に入ってきました。
仕立ての良いスーツを完璧に着こなし、落ち着いたオーラを放つその人に、店中の視線が吸い寄せられます。
彼は店内を見渡すと、まっすぐ私たちのテーブルに向かって歩いてきました。

「大樹、遅くなってすまない」
その男性は、玲奈さんには目もくれず、大樹の隣にどっかりと腰を下ろしました。
「急なトラブルだったが、君が週末のうちにまとめてくれたデータのおかげで助かった。役員会も、あれで乗り切れそうだ。本当に、いつも感謝しているよ」
親しげに大樹の肩を叩く男性に、私たちは皆あっけにとられます。
男性はそこで初めて私に気づくと、柔らかな笑みで頭を下げました。

意外な正体に唖然

「あなたが、大樹がいつも話している恵美さんですね。はじめまして。彼が勤める会社で社長をしている、一条と申します」

「しゃ、社長…?」玲奈さんの口から、引きつったような声が漏れました。
一条さんは、そんな彼女の様子など気にも留めずに続けます。
「彼は口下手なところがあるけれど、仕事の正確さと物事の本質を見抜く力は、我が社でも右に出る者はいません。うちの根幹を支えているのは、間違いなく彼ですよ」
玲那さんの顔から、すっと血の気が引いていくのがわかりました。
さっきまでの自信に満ちた表情は見る影もなく、ただ俯いています。
人の価値は、上辺の派手さや口の上手さなんかじゃない。
私は、隣で照れくさそうに頭を掻いている彼を、心の底から誇らしく思いました。

 

本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。

 

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