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18.05.25(Fri)

【GLAMなオトコ】Vol.16 ウェス・アンダーソン最新作『犬ヶ島』のキーマン! 野村訓市、「とんでもない作品に手を出しちゃったな」

GLAM Editorial Team

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(c)2018 Twentieth Century Fox Film Corporation

Q.ウェス・アンダーソン監督との出会いについてお聞かせください。

ソフィア・コッポラの紹介で会いました。お互いに何をやっているのかもよくわからないまま会ったのが最初で、そこからずっと友達という感じで、気づけばもう13、4年の付き合いになりますね。

Q.前作『グランド・ブダペスト・ホテル』には俳優として参加され、今作『犬ヶ島』では原案、キャスティング、さらにメインキャラクターである小林市長の声も担当していますが、どういった流れで本作に携わることになったのでしょうか。

ウェスは、友達を作品に引き込むのが好きなのだと思います。メールはいつも短くて、『グランド・ブダペスト・ホテル』のときも、いつものように「近々ヨーロッパに来ないの?」「来月パリに行くよ」「ドイツにいるから会わない? ご飯食べない?」という流れになって。

僕らが会うときはいつも“ご飯を食べる”という感じで、ドイツだから、ベルリンかフランクフルトあたりで会うのかなって思っていました。でも、次の日の秘書からのメールで「カメオ出演にOKしたって聞いたけど、いつコスチュームフィッティングに来れる?」って書いてあるのを見て、「おいおい、聞いてないぞ」って。会って一緒にご飯食べるという意味のYESがそういうことになっていたんですね(笑)しかも、ロケ現場のゲルリッツは、ベルリンから3〜4時間くらいかかる場所でした。

『犬ヶ島』は、「日本の映画を作るから手伝ってくれ」って言われて。「手伝う」っていろいろな解釈があるんだなと後から思いましたね。何を手伝えばいいのかな? と思っていたのに、気づけば3年も手伝っていましたから。

Q.前作では俳優として、本作では声優としての参加となりますが、違いや難しさを感じた点などはありますか?

僕は俳優ではないので、「美味しそうにスープをすすって」「タバコを吸って」と言われた通りにやるだけでした。『ロスト・イン・トランスレーション』(ソフィア・コッポラ監督作)に出演したときも、カラオケで騒ぐとかパーティーシーンへの参加で、客を演じているのも全員友達だったので、遊びに行った感覚です。

『犬ヶ島』の場合は、絵コンテを作って尺を測るときに、英語キャストはウェス、日本語キャストは自分がキャストの声をやることになりました。「訓の声がすごく悪い市長っぽいから、プランを変更してこの役と声を残す!」という流れになり、市長の声を担当することになりました。

「これ、どうしよう」「じゃ、やるよ」という流れで原案も、という感じになりましたね。最初にあった原案から、毎日のやり取りで内容を変えていくので、毎日終わりのない編集をやっている感じでした。一生終わらないかもと思ったこともありました(笑)。

「あと2、3年かかるかな」と思っていたところで、配給先が決まって。そこからは、いろいろなことがオフィシャルに進み始めたので、「仕上げること」のリアリティが出てきましたね。このとき、「とんでもない作品に手を出しちゃったかな」と思いました。

Q.締め切りも出てきたりしますからね。プレッシャーを感じましたか?

締め切りもありますが、何より、ウェスは友達だけど、才能がある監督で、世界中にファンがいて、彼の作品をたくさんの人が待っているわけですから。ストップモーション・アニメというだけでも簡単につくれない類の映画なのに、舞台は日本。監督としてのウェスの評判を傷つけるような作品作りはしたくないし、できない。何より、彼のファンをがっかりさせたくないというのがあったので、嫌なポジションにいるなと感じました(笑)。

プレッシャーは最初から自覚していました。日本を舞台にする作品ということで、『ロスト・イン・トランスレーション』での経験が活きたと思います。渋谷のスクランブル交差点やカラオケでの撮影は、東京生まれ東京育ちの自分にとっては、「THE ベタ」という印象で、「大丈夫か?」と少し心配していたんです。でもベッタベタの場所で撮影しても、主人公の心情などを表現した上で撮影すれば、日本人、東京の人間が見ても決しておかしくない、綺麗な映像になるんだなと。

例えば、今回でいうと、ウェスが「相撲のシーンを撮りたい!」となったときには、日本人が作っている作品ではないのだから、ウェスが考える、ウェスが撮りたい相撲を撮ればいい。想像力を活かして表現したら面白いものができると思える心の余裕がありました。『犬ヶ島』はドキュメンタリーではないし、世界的にビジュアルが素晴らしいと認められている監督が、日本を舞台に自分の映画を作るのは本当に素晴らしいことだと思いました。

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