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「浮気してんだろ!スマホのパスワード教えろ」とキレる彼。だが、彼に教えると泣いていたワケ【短編小説】
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本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
浮気を疑う彼
「浮気してんだろ!いい加減にしろよ、スマホのパスワード教えろ!」
平穏だったはずの週末の夜、リビングに彼の怒鳴り声が響き渡りました。
いつもは穏やかな彼ですが、最近は仕事がうまくいっていないせいか、自分に自信を失っているようでした。
「どうせ俺なんて」が口癖になり、私が少しスマホをいじっただけで過剰に反応するようになっていたのです。
この日も、たまたま私が友人とLINEをしていた際の笑い顔を見て、彼の不安が爆発してしまいました。
顔を真っ赤にして私を睨みつけ、手には私のスマホを握りしめている彼。
「何も言えないってことは、やっぱり後ろめたいことがあるんだろ?だったらこの場で証明しろよ!」
彼の目は血走っていて、悲痛なほどに追い詰められていました。
私は彼の手首を掴むと、その目を真っ直ぐに見つめ返しました。
これ以上、彼を不安にさせてはいけない。
私の気持ちがどこにあるのか、言葉よりも雄弁な「証拠」を示す時だと思いました。
パスワードを伝えると
「わかった。……パスワードは、1004だよ」
その4桁の数字を口にした瞬間、怒りで震えていた彼の肩が、ピタリと止まりました。
彼の目が見開かれ、握りしめていたスマホを持つ力がふっと緩みます。
「……え?」
彼が動揺するのも無理はありません。
『1004』。 それは世間一般の記念日でもなければ、私の誕生日でもありません。
3年前の今日、彼が私に初めて「好きだ」と告白してくれた、あの日付だったからです。
彼にとっては、自信がなくて震えながら伝えた、情けない思い出かもしれません。
でも私にとっては、世界が変わった一番大切な日。 私は彼に近づき、静かに告げました。
「私ね、毎日何十回もスマホを開くたびに、あなたが想いを伝えてくれたあの日を入力してるの。私にとって、あの日はそれくらい大切な宝物なんだよ」
その言葉を聞いた瞬間、彼の目からボロボロと大粒の涙がこぼれ落ちました。
スマホの中身なんて確認することなく、彼はその場に崩れ落ち、子供のように泣きじゃくりました。
「ごめん……俺、こんな数字、毎日打たせて……勝手に疑って……」
浮気を疑うどころか、私が片時も彼との始まりを忘れていなかったという事実に、自分の弱さが恥ずかしくなったのでしょう。
私は泣きじゃくる彼の背中を優しく抱きしめました。
「バカだなぁ。私はずっと、あなた一筋だよ」
疑り深い彼ですが、そんな不器用なところも愛おしい。
たった4桁の数字が、どんな愛の言葉よりも深く彼に届いた、少し騒がしい夜の出来事でした。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。
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