Share
「おこがましい」の意味と例文・言い換え表現を徹底解説!ビジネスで失礼にならない謙遜の極意
INDEX

ビジネスやプライベートの場面で、自分の意見を述べる際や、誰かに何かを依頼する際には、言葉遣いに人一倍気を遣うもの。「失礼な人だと思われたくない」「できればスマートに、丁寧な表現を使いたい」そう願うのは自然なことです。
その中でも、「おこがましい」という言葉は、意味が曖昧で、使用するたびに「本当にこれで正しいのかな?」「厚かましいという意味で捉えられないかな?」と不安を感じやすい言葉の一つではないでしょうか。特に目上の人や取引先に対して使うとなると、慎重になってしまいますよね。
この記事では、「おこがましい」の正確な意味と語源から、ビジネスメールや日常会話での具体的な使い方、さらにワンランク上の謙遜を伝えるための丁寧な言い換え表現までを徹底的に解説します。
記事を読み終える頃には、あなたは言葉の不安から解放され、自信を持ってこの言葉を使いこなせる、一歩先のデキる女性になっていることでしょう。
「おこがましい」の正確な意味と語源

まずは、「おこがましい」が持つ核となる意味をしっかりと押さえましょう。
この言葉は、ただの謙遜ではない、少し複雑なニュアンスを含んでいます。
「おこがましい」が持つ二つの基本的な意味
現代において「おこがましい」は、主に以下の二つの意味で使われます。どちらの意味も、使い手や聞き手の感情を揺さぶる力があるため、そのニュアンスを理解しておくことが大切です。
一つ目の意味は、身の程を知らない、差し出がましい、出過ぎているという意味合いです。これが現代で最もよく使われる意味で、自分の立場や能力を顧みず、生意気な言動をしたり、分不相応な行動をとったりする様子を指します。
例えば、経験が浅いにもかかわらず、ベテランの上司に対して指導的な意見を述べるような行動が、この「おこがましい」に該当する場合があります。
二つ目の意味は、ばかげている、みっともないという意味合いです。しかし、この「ばかげている」という意味は、現代の日常会話やビジネスシーンで使われることはほとんどありません。
私たちが意識すべきは、一つ目の「身の程を知らない」という、ややネガティブなニュアンスを含む意味合いです。謙遜として使う場合でも、この根底にある意味を理解しているからこそ、相手に丁寧さが伝わるのです。
語源は「烏滸(おこ)」!漢字で書くとどうなる?
「おこがましい」という言葉の語源を知ると、その持つニュアンスがより深く理解できます。「おこがましい」は、もともと「烏滸(おこ)」という言葉から派生しました。「烏滸」とは、愚かなこと、ばかげていることを意味します。
つまり、「おこがましい」は文字通り「烏滸がましい」と書かれ、相手から見て「愚かに見えるほど、身の程を知らない様子」というニュアンスを含んでいるのです。このため、使う際には、自分を低める謙遜の表現として使うのが基本であり、他人を指して使うと、強い非難の言葉になってしまうため注意が必要です。
この語源から、「おこがましい」が単なるへりくだりではなく、自分自身を客観的に見ているという姿勢を伝える言葉であることが分かります。
間違えやすい「畏れ多い(おそれおおい)」との違い
「おこがましい」と似た場面で使われ、混同されやすい言葉に「畏れ多い(おそれおおい)」があります。「畏れ多い」は、相手の厚意や、自分にはもったいないほどの評価に対して、恐縮し、身が引き締まる思いを表現する際に使います。
決定的な違いは、その言葉が含む感情です。「おこがましい」には、前述の通り「生意気だ」「分不相応だ」というネガティブで批判的なニュアンスが根底にあります。これは、謙遜として使うにしても、自分の行動が「出過ぎたこと」であると認識していることを示します。
一方、「畏れ多い」には、相手への深い敬意と感謝の気持ちしか含まれていません。
例えば、取引先の社長から個人的に激励の言葉をいただいた場合、「社長からそのようなお言葉をいただくのは大変畏れ多いことでございます」と使います。ここで「おこがましい」を使ってしまうと、「社長に厚かましく思われるのが嫌だ」という自己中心的なニュアンスが入り込んでしまい、適切ではありません。
「畏れ多い」は、相手に敬意を払うときに使い、「おこがましい」は、自分の言動や立場をへりくだる時に限定して使い分けましょう。
「おこがましい」の正しい使い方と例文

「おこがましい」は、単なる謙遜の言葉ではなく、自己卑下の感情を伴う言葉です。
デキる女性は、その使い方を間違えず、適切な場面で適切に使いこなします。
【基本】謙遜・自己卑下としての「おこがましい」の使い方
「おこがましい」の最も正しい使い方は、自分自身の言動を控えめに表現し、相手に対して謙遜の気持ちを伝える場合です。
特に、自分の意見や希望を、相手の立場や能力と比較して述べる際に、前置きとして使用することで丁寧な印象を与えられます。
<例文1>自分の能力や立場をへりくだって言う場合
「私のような経験の浅い者が意見を申し上げるのはおこがましいですが、今回の企画には〇〇という視点も必要かと存じます。」
<例文2>意見を述べる際に前置きとして使う場合
「おこがましいとは存じますが、わたくしもそのプロジェクトにご協力させていただければ幸いです。」
このように、「おこがましいですが」「おこがましいとは存じますが」というクッション言葉として用いることで、自分の意見を主張しつつも、相手への配慮を示すことができます。この一言があるだけで、その後の発言全体が、謙虚な態度に基づいていると受け取ってもらえるのです。
【NG例】相手を非難する際の「おこがましい」は避けるべき
「おこがましい」は、相手を非難する意味も持っていますが、ビジネスシーンや日常の人間関係で相手本人に対して直接使うのは避けるべきです。
例えば、誰かの言動に対して「それはおこがましいですよ」と指摘することは、「あなたは身の程知らずで、厚かましい人だ」と強く非難していることになります。このような表現は、人間関係に大きな亀裂を生じさせてしまう可能性が高いです。特に社内や取引先との関係を円滑に進めたいデキる女性にとって、避けるべき表現だと言えます。
相手の行動を指摘したい場合は、「少々行き過ぎではないでしょうか」「恐縮ながら、ご遠慮いただきたく存じます」など、より穏やかで客観的な表現を選ぶのが、大人のコミュニケーションにおける鉄則です。あくまで「おこがましい」は、自分の行動を謙遜する時にのみ使う言葉だと肝に銘じましょう。
【ビジネスメール】シーン別・実践的な例文集
「おこがましい」を最も効果的に使えるのが、書き言葉であるビジネスメールです。
前置きとして利用し、相手への敬意を示しながら、自分の意思を伝えましょう。
<例文1> 意見や提案をする際の謙遜
「誠におこがましいお願いで恐縮ですが、この点につきまして、わたくしどもからも一つご提案させていただきたく存じます。」
<例文2> 目上の人の前で自らの行動を控えめに表現する時
「このような場でご挨拶させていただくのは、おこがましい限りですが、精一杯努めさせていただきます。」(スピーチやプレゼンの冒頭など)
<例文3> 自分の能力を評価された際、へりくだる時
「〇〇様より過分なお褒めの言葉をいただき、大変光栄に存じます。そのような大役を仰せつかるのはおこがましいですが、精一杯取り組ませていただきます。」
これらの例文のように、「おこがましい」の前後に「誠に」「大変」などの強調語や、「恐縮ですが」といった別の謙譲語を添えることで、より丁寧で洗練された印象を与えられます。
特にメールでは、文章が冷たく見えがちなので、こうした配慮が大切です。
ワンランク上の女性になるための「おこがましい」言い換え表現

「おこがましい」は正しい言葉ですが、使いすぎると少し重たい印象を与えかねません。
ここでは、場面に応じて使い分けたい、より丁寧でスマートな言い換え表現をご紹介します。これらの言葉を使いこなすことで、あなたはワンランク上の言葉遣いができる女性へとステップアップできます。
【最上級の謙遜】目上の人に使いたい丁寧な言い換え表現
「おこがましい」が持つ「身の程を知らない」というニュアンスを、さらに洗練された謙遜の言葉で伝えたい場合は、以下の表現を使いましょう。
「僭越(せんえつ)ながら」
これは「身の程を超えた態度」という意味があり、「おこがましい」と非常に近い意味です。しかし、こちらはより公式な場面やスピーチ、会議などで、前置きとして使われることが多く、よりフォーマルで丁寧な印象を与えます。
<使用シーン例>
結婚式のスピーチや、役員会議での意見表明など、大勢の前で発言する重要な場面。「僭越ながら、ご挨拶させていただきます」「僭越ながら、私の考えを述べさせていただきます」という形で、謙遜を示しながらも、自分の役割を果たす意思を毅然と伝えられます。
「恐縮ですが」
これは相手の行動や厚意に対して、「恐れて身が縮む思い」を伝える、極めて丁寧な表現です。「おこがましい」よりも、相手への配慮や感謝の気持ちが強く伝わります。お願い事をする際や、相手に手間をかけてしまう際に使うことで、丁寧な印象を与える万能なクッション言葉です。
<使用シーン例>
急なアポイントメントをお願いする時、相手からの好意的な申し出を一旦保留にしたい時。「お忙しいところ恐縮ですが、来週水曜日の午後、少しお時間をいただけないでしょうか」といった形で、相手の負担を理解しつつ依頼する姿勢が伝わります。
「分不相応(ぶんにふそうおう)」
これは、自分の立場や能力にふさわしくない、という意味です。「このような大役は私には分不相応でございますが」といった形で、役職や評価に対して謙遜を示す際に適しています。例えば、突然、大きなプロジェクトリーダーに任命された際など、驚きと謙遜の念を込めて使われます。
【ニュアンス別】意味合いが似ている類義語との使い分け
「おこがましい」は、批判的な意味も持つため、類義語との使い分けを理解し、誤って使わないように気をつけましょう。
まず、「厚かましい」は、図々しく、遠慮がないという意味で、「おこがましい」とネガティブなニュアンスは共通しています。しかし、「厚かましい」は、相手を直接非難する際に使われることがほとんどで、ビジネスの場では使用を避けるべき言葉です。例えば「あの人の要求は厚かましい」というように、他者評価として用いられます。
次に、「生意気」は、年下や部下など、自分より立場が下の者に対して使う批判的な言葉であり、目上の人に対して使うのは絶対にいけません。この言葉は、年配の人が若者の態度を咎める際に使われることが多く、謙遜の意味は一切ありません。
そして「身の程知らず」は、自分の能力や立場をわきまえていないこと、という「おこがましい」に近い意味を持つ慣用句的な表現です。これもまた、話し言葉として他人を非難する際に使われ、直接的な言い方になるため、使用には注意が必要です。「おこがましい」は自己謙遜に使えるのに対し、「身の程知らず」は他者への批判にしかなりません。
これらの言葉は、「おこがましい」とは異なり、謙遜の意味で使うことはできません。あくまで他人を批判する際の言葉であり、デキる女性は、公の場やビジネスシーンではこれらの直接的な表現を避け、常に穏やかな言葉遣いを心掛けたいものです。
「おこがましい」に関するよくある質問
ここでは、「おこがましい」に関するよくある疑問にお答えします。
Q1.「おこがましい」は上司や取引先に使っても失礼ではないですか?
結論から申し上げますと、自分の言動をへりくだる謙遜の表現として使う分には、上司や取引先といった目上の方に対しても失礼にあたりません。これは、敬語表現の一つとして認識されています。
しかし、前述の通り、「おこがましい」には元々ネガティブなニュアンスが含まれているため、受け取り方によっては「そこまで卑下する必要はないのに」と、かえって相手に気を使わせてしまう可能性もゼロではありません。
そのため、より洗練された言葉遣いを心掛けるのであれば、特に丁寧さが求められる場面や、フォーマルな挨拶では、前章で紹介した「僭越ながら」や「恐縮ですが」を優先して使うことを強くおすすめします。これらの言葉は、謙遜しつつも相手への配慮がより明確に伝わるため、よりスマートな印象を与えられます。
Q2.「おこがましいことを申し上げますが」の前に何を付ければさらに丁寧になりますか?
この表現は、すでに丁寧なクッション言葉ですが、さらに丁重に、相手への配慮を強調したい場合は、「大変」「まことに」「誠に」といった強調の副詞を付け加えましょう。
例えば、「まことに おこがましいことを申し上げますが、…」や、「大変 おこがましいとは存じますが、…」といった使い方です。
強調語を添えることで、あなたがどれだけ相手に対して控えめな姿勢でいるか、そして発言に慎重になっているかという思いが、より強く相手に伝わります。また、文頭に「恐縮ではございますが」など、別のクッション言葉を重ねて使うことも、丁寧さを増すテクニックの一つです。
まとめ:GLAMが贈る「おこがましい」を使う上での極意
この記事を通じて、「おこがましい」という言葉が持つ、謙遜と身の程知らずという二つの複雑な意味を理解していただけたかと思います。デキる女性は、言葉の裏側にある意味を知り、TPOに合わせて最適解を選びます。
「おこがましい」は、自分の立場をへりくだり、謙虚な姿勢を相手に示す、優れた自己卑下の表現です。この言葉を使うことで、あなたは自分の意見を主張しつつも、決して厚かましい人ではない、という誠実な姿勢を伝えることができます。
しかし、本当に重要な局面や、より丁寧に意見を伝えたい時には、「僭越ながら」や「恐縮ですが」といった表現へ切り替えることができる、柔軟な言葉の引き出しを持っておきましょう。
正しい言葉遣いは、あなたの知性と品格を表します。今日学んだ知識を活かし、不安なく自信を持って「おこがましい」を使いこなしてください。あなたのビジネスシーンが、さらにスマートで美しいものとなることを願っております。
Feature
特集記事

