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「産後太り?努力が足りないな」と授乳室前で笑う夫。帰りの車で妻が放った一言に笑顔が消えた【短編小説】

夫が放った無神経な言葉
生まれて3ヶ月になる息子は、本当にかわいくて、私のすべてです。ですが、初めての育児は想像以上に大変でした。
昼も夜も関係ない授乳。泣き止まない我が子を抱いて部屋を歩き回る夜。満足に眠れず、鏡に映る自分はいつも疲れ切っていました。
そして、妊娠中に増えた体重は、なかなか元には戻りません。お腹周りはまだ、ふんわりとしたまま。
その日は、久しぶりに家族3人で大型ショッピングモールに出かけました。夫は息子を抱っこして上機嫌です。
息子の授乳の時間になり、私は「授乳室に行ってくるね」と夫に声をかけました。「おう、ここで待ってるよ」と夫。
授乳を終えて出てくると、スマホを見ていた夫が顔を上げ、私のお腹あたりをじっと見ました。そして、ニヤニヤしながら言ったのです。
「おー、お疲れ。しかし、なかなか戻らないな。産後太り? 努力が足りないんじゃないの?」
耳を疑いました。努力? 私が、どれだけボロボロになって毎日を過ごしているか知っているはずなのに。人目もはばからず、冗談めかして笑う夫。
私は何も言い返せませんでした。ただ、胸の奥が冷たくなっていくのを感じながら、「…行くよ」とだけ言って、その場を離れました。
夫の笑顔が消えた瞬間
買い物を終え、帰りの車に乗り込みました。息子はチャイルドシートですぐに寝息を立て始め、車内は静かです。
運転席の夫は、鼻歌交じりにハンドルを握っています。さっきのことは、彼の中ではもう終わったこと、いや、そもそも「冗談」として記憶されているのでしょう。
私の頭の中では、さっきの言葉がずっと響いていました。
「努力が足りない」
その言葉が、私のギリギリだった心を、プツンと切りました。私は静かに口を開きました。
「ねえ」
「ん? どうした?」
夫はバックミラー越しに私を見て、まだ笑っています。
「さっき、あんな風に笑ってたけど」
私は、彼の目をまっすぐ見返して言いました。
「私、もうあなたのこと、父親としても夫としても、尊敬できないかもしれない」
夫の顔から、笑顔がスッと消えました。彼は慌てたように前を向き直しました。車内に、エンジンの音だけが響きます。
家に着くまで、私たち夫婦の間に会話はありませんでした。私の本気は、彼に伝わったのでしょうか。それとも、伝わらなかったのでしょうか。
ただ、あの瞬間の、夫の凍りついた顔だけが、今は私の心に残っています。
本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
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※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。
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