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「親の介護に金なんてかけられないよ」と言ってた兄が、泣きながら電話してきた理由とは?【短編小説】

兄の冷たい返事
数年前、実家で一人暮らしをしていた母の物忘れがひどくなりました。
私はすぐに「専門の施設にお願いした方が母のためだ」と考え、離れて暮らす兄に相談の電話をかけました。
しかし、兄の反応は信じられないほど冷たいものでした。
「は?施設?いくらかかると思ってんだ。だめだめ。親の介護に金なんてかけられないよ」
私はカッとなって言い返しました。
「じゃあ、お兄さんが面倒見てくれるの?」
すると、兄は当たり前のように言いました。
「うちは嫁さんも働いてるし無理だ。お前が実家に帰って面倒見ればいいじゃないか。金もかからないし」
その言葉に、私は怒りを通り越して悲しくなりました。 
昔から兄は自分本位なところがありましたが、まさか実の親のことまで「金がかかる」の一言で切り捨てるとは思ってもみませんでした。
話し合いは平行線でした。
「とにかく、俺は金は出さないからな!」
そう言って電話を切った兄に、私は心底失望しました。
結局、私は兄の同意を得られないまま、説得も諦めました。
「もういい。お兄さんからの援助は期待しない。私の貯金でなんとかするから」
私はそう宣言し、母のために評判の良い介護施設を探し、入所の手続きを一人で進めました。兄とは、それ以来ほとんど連絡を取らなくなりました。
珍しく兄からの着信
母が施設に入って半年ほど経った、ある平日の夜。 私のスマホが、珍しく兄からの着信を知らせました。
嫌な予感がしながら電話に出ると、聞こえてきたのは兄の嗚咽でした。 「うっ…ううっ…」 何を言っているのか聞き取れません。
「どうしたの? 何かあったの?」
私がそう尋ねると、兄はしゃくりあげながら、途切れ途切れに話し始めました。
「今日…仕事の途中で、母さんの施設の前を通って…。気になって、こっそり中を覗いたんだ」
兄が見たのは、談話室で他の入居者の方たちと、楽しそうに笑っている母の姿だったそうです。
職員の方が優しく母に話しかけ、母は、私たちが知っている頃よりもずっと穏やかな顔で頷いていた、と。
「俺…ずっと、母さんは家で見るのが一番だと思ってた…。金かけるなんて、って…。でも、違ったんだな」
兄は泣き続けていました。
「あんな顔、俺たちじゃさせられなかった…。お前に全部押し付けて…俺、ひどいこと言った…。本当に…すまなかった…!」
私は、何も言えませんでした。 ただ、電話の向こうで泣き続ける兄の声を、静かに聞いていました。
本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
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※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。
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