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「俺の飯は?」産後の不眠不休の私に言った夫。絶対に忘れない、あの日の絶望の理由とは?【短編小説】

命がけの出産、休む暇ない育児地獄
私が第一子となる娘を出産し、病院から退院してきた日のことを、今でも鮮明に覚えています。
もちろん、無事に生まれてきてくれた喜びはありました。ですがそれ以上に、これから始まる未知の育児に対する不安で胸がいっぱいでした。
病院では助産師さんたちが親身になって助けてくれましたが、自宅に帰れば、夫の拓也(たくや)と私、そして赤ちゃんの三人だけです。
いいえ、正確には「赤ちゃんと私の二人きり」と言うべきだったかもしれません。
拓也は妊娠中、「育児、俺も手伝うよ!任せて!」と意気込んでいました。しかし、いざ退院してみると、「オムツ替えってどうやるの?」「ミルクの作り方、わからないな」と、結局すべての指示を私が出さなくてはなりませんでした。
産後の体は、まるで交通事故に遭ったかのように全身が痛みます。それなのに、娘は教科書通りの3時間おきどころか、時には1時間おきに泣き出します。私はほとんど眠れない日々が続きました。
夫の「俺の飯は?」、私の中で何かが切れた日
退院から5日目の朝のことです。
前の晩、娘は特に泣き止まず、私は文字通り一睡もしていませんでした。リビングのソファで娘を抱っこしたまま気を失いかけ、すぐに泣き声で起こされる、その繰り返しです。
朝7時。ようやく娘がウトウトし始めた、まさにその時でした。
寝室から、のんびりと拓也が起きてきたのです。彼は大きなあくびを一つすると、疲れ切ってゾンビのようになっている私を見て、こう言いました。
「おはよ。あー、腹減った。俺の飯は?」
時が止まりました。目の前が真っ暗になるとは、このことでしょうか。
私は命がけで出産し、この数日間、不眠不休で新しい命を守っている。それなのに、この人は……。私のことなど、まったく目に入っていなかったのです。
怒りを通り越して、冷たく、乾いた感情が湧き上がってきました。私はゆっくりと拓也を見上げました。
「ご飯ですか?昨日炊いた残りが冷蔵庫にありますよ。自分で温めて、卵でも焼いたらどうですか?」
「え?俺がやるの?」
拓也は、心底驚いた顔をしています。その顔を見て、私の決意は固まりました。
「当たり前でしょう。私は昨日から一睡もしていません。今、あなたの世話までできる状態に見えますか?自分のことは自分でしてください。というか、できるなら私の分も作ってくれませんか?」
拓也は何も言い返せず、黙ってキッチンへ向かいました。
あの日、あの瞬間の「俺の飯は?」という一言と、彼の驚き切った顔。
産後の恨みは一生モノ。私は絶対に、忘れません。
本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
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※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。
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