同僚に恋人を奪われ退職した私。1年後に泣きついてきた同僚への痛快な一撃とは！？【短編小説】

幸せの絶頂から地獄へ

「君が一番だよ」と甘い言葉を囁いてくれた大和とのお付き合いは、私の人生で最も幸せな時間でした。この幸せが永遠に続くと、信じて疑いませんでした。

しかし、その信頼は、同じ会社の同僚である井上さんの存在によって、あっけなく崩れ去ったのです。二人がただならぬ関係だと知った時の衝撃は、今でも忘れられません。

私は深く傷つき、二人と顔を合わせるのが耐えられず、会社を辞めることにしました。

新しい職場にも慣れ、穏やかな日常を取り戻しつつあった1年後。風の噂で、大和と井上さんが結婚したと聞きました。心にチクリと痛みが走りましたが、「もう関係ない」と自分に言い聞かせ、仕事に打ち込む毎日でした。

そんなある日の夜、見知らぬ番号から着信があったのです。警戒しながらも電話に出ると、聞こえてきたのは女性の泣きじゃくる声でした。

「…私、井上です。お願い、一度だけでいいから会って話を聞いて…！」

あまりにも必死なその声に、私は戸惑いながらも近くのカフェで会う約束をしてしまいました。

涙の懇願と、驚きの要求

翌日、カフェには変わり果てた姿の井上さんがいました。私の前に座るなり、彼女は泣き崩れ、衝撃の事実を語り出したのです。

「ごめんなさい…！あの男、大和は最低のクズだったの…！」

彼女の話では、結婚直後に大和の莫大な借金が発覚。甘い言葉で騙され、貯金も親からのお金も、すべて巻き上げられたそうです。さらに、返済に追われる彼女を置いて、別の女性と逃げたとのこと。

そういえば、大和は私にもお金を無心してきました。私が断固として断ったから、ターゲットが彼女に移ったのでしょう。あの時の判断が、私を救ったのです。

一通り話し終えた彼女は、涙で濡れた顔で信じられない言葉を口にしました。「だから…お願い！少しでいいからお金を貸して…！」

その厚かましさに、私の中で何かが切れました。私は静かに立ち上がり、財布から千円札を一枚テーブルに置きます。

「これは私のコーヒー代。お釣りはチップとしてあげる。あなたの不幸話を聞いた礼よ。あなたが私から奪ったものの代わりに、彼の借金を背負うのがお似合いだわ。さようなら」

唖然とする彼女を残し、私は一度も振り返らず店を出ました。外の空気は驚くほど美味しく、空はどこまでも晴れ渡り、最高の気分でした。

本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。

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