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新居に引っ越して洗濯物を盗まれ続けた私。現行犯で捕まえた相手に言葉を失った理由【短編小説】

消えていく洗濯物
念願の一人暮らし。日当たりの良いベランダが気に入って決めたこの部屋で、私の心は希望に満ち溢れていました。しかし、そんな穏やかな毎日は、一ヶ月もしないうちに崩れ去りました。
最初に気づいたのは、お気に入りのブラウスがなくなったことでした。「風で飛んじゃったのかな…」。そう思うようにしましたが、その翌週は新調したばかりのタオルが、そしてその次はおろしたての靴下が片方だけ消えていたのです。
さすがにおかしい。これは明らかに誰かに盗まれているのだと確信し、背筋が凍る思いでした。
警察にも相談しましたが、「証拠がないと動けない」と言われるだけ。私はすっかり憔悴し、洗濯物を外に干すことすら怖くなっていました。ですが、いつまでも部屋干しというわけにもいきません。
私は、自分の手でこの不安に終止符を打つことを決意したのです。
ついに捉えた犯人の信じがたい正体
決行は日差しの強い土曜日。私はいつも通り洗濯物を干すと、カーテンの隙間から息を殺してベランダを見張り続けました。犯人が現れる保証なんてどこにもありません。それでも、私はひたすら待ちました。
午後になり、諦めかけたその時でした。隣の部屋のベランダの仕切り板の向こうから、すっと手が伸びてきたのです。その手は慣れた様子で私の下着に触れ、まさに引き抜こうとしていました。
「何してるんですか!」
私はスマホで動画を撮りながら、ベランダの窓を勢いよく開けて叫びました。びくりと肩を揺らし、ゆっくりとこちらを振り向いた犯人の顔を見て、私は言葉を失いました。
そこにいたのは、いつもにこやかに「おはようございます」と挨拶をしてくれる、隣人の加藤さんの奥さんだったのです。上品で、物腰の柔らかい、とても窃盗などするようには見えない人でした。
顔を真っ青にした加藤さんは、震える声で言いました。
「ご、ごめんなさい…。あなたのものが、全部素敵に見えて…。私も、あなたみたいになりたかったの…」。
その歪んだ瞳と理解不能な動機に、私は恐怖で体が動かなくなりました。驚きのあまり声も出なかったのは、犯人が意外な人物だったからだけではありません。すぐそばに潜んでいた、静かな狂気に気づけなかった自分自身にもゾッとしたのです。
私はすぐに警察に通報し、加藤さんは現行犯で連れて行かれました。もうあのベランダに、不気味な手が伸びてくることはありません。
本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。
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