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父に『外見より努力しろ』と叱られた私。→努力の先で手にした肌を見た父の表情が忘れられない【短編小説】

私に厳しかった父親の言葉
『結菜、そんなものにお金を使うな。外見より、中身を磨く努力をしろ』
大学生の頃、ひどい肌荒れに悩みアルバイト代のほとんどを化粧品につぎ込んでいた私に、父の浩一が放った言葉です。
昔気質の頑固な父にとって、私が肌のことで悩むのは、ただの甘えや怠慢に見えたのでしょう。
勉強や将来のための努力こそが正義であり、外見を気にするのは無駄なことだと。
その言葉は、私のコンプレックスを抉るようで深く傷つきました。
同時に、悔しさで胸の内に火がついたのです。
「努力」というのなら、見せてやろうじゃないか。
父が認める学業や就職活動も、そして、私が諦めたくない肌のことだって、全部努力で手に入れてみせると。
そこから、私の挑戦が始まりました。
まず、父を納得させるため必死に勉強し、第一志望の企業から内定をもらいました。
それと並行して、私はスキンケアも「研究」と捉え、自分なりの「努力」を続けたのです。
流行りの化粧品に飛びつくのをやめ、自分の肌質と向き合い食事や睡眠といった生活の基礎から見直しました。
久しぶりに実家に帰省した時のこと
それから数年後。
社会人になり、久しぶりに実家へ帰省した時のことです。
すっかり肌荒れが治り、薄化粧で過ごす私を見て、母は「綺麗になったねえ」と喜んでくれました。
父は、いつも通り、黙ってテレビを見ています。
食事が終わり、私が席を立とうとした、その時でした。
父が、ぼそりと呟いたのです。
「……結菜」
振り向いた私と、父の目が合いました。
父は私の顔を、特に肌をじっと見つめていました。
その表情は昔のような呆れたものではなく、どこか感心したような優しい眼差しでした。
「いい顔に、なったな。……努力したんだな」
涙が、溢れそうになりました。
父は、私の肌が綺麗になったこと自体を褒めたのではありません。
この肌を手に入れるまでの、私の地道な「努力」を、きちんと見て、認めてくれたのです。
父が私に求めていたのは、外見を諦めることではなかった。
どんなことであれ真摯に向き合い、努力することの大切さを伝えたかっただけなのかもしれません。
父が初めて見せたあの誇らしげな、そして少しだけ寂しそうな表情を、私は一生忘れることはないでしょう。
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【編集部注】
本記事は創作の小説であり、登場する人物や団体、出来事はすべて架空のものです。記事内で描かれているスキンケアの効果や肌の変化は物語上の演出であり、同様の結果を保証するものではありません。肌のトラブルにお悩みの方は、専門の医療機関にご相談ください。
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