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合格発表の掲示板の前で泣いていた女性。声をかけた瞬間に知った驚きの関係とは【短編小説】

合格発表の掲示板の前で泣いていた女性声をかけた瞬間に知った驚きの関係とは短編小説

国家試験の合格発表日

この日のために私は二年間、全てを捧げてきました。
私の人生を左右する、国家資格の合格発表日。
恋人の亮介との将来のためにも、絶対に失敗はできません。

発表会場の掲示板の前は、すでに大勢の人でごった返していました。
歓声を上げて抱き合う人、静かにその場を立ち去る人。
様々な人生が交差するその場所で、私は一人の女性に目を奪われました。

少し離れた場所で、掲示板をじっと見つめ、肩を震わせて泣いている女性。
その姿に私は他人事とは思えず、胸が締め付けられました。

自分の結果を確認しなければ。
私は彼女から目を逸らし、掲示板にびっしりと並んだ受験番号の中から、自分の番号を探します。
指が震え、心臓が早鐘を打ちます。そして、見つけたのです。私の番号を。

試験の結果は…

「あった…!」

全身の力が抜け、涙が溢れそうになるのをこらえ、私はもう一度、先ほどの女性に目をやりました。
彼女はまだ、同じ場所で泣き続けています。

いてもたってもいられなくなった私は、そっと彼女に近づき、ハンカチを差し出しました。

「あの、大丈夫ですか…?」

声をかけた瞬間、彼女ははっとしたように振り返りました。
涙で濡れたその顔を見て、私は息を呑みました。
そして、彼女もまた私に気づき驚きに目を見開いています。

写真で何度も見たことがある顔。
彼女は私の恋人、亮介のお母様、静子さんでした。

「お、お母さん…!どうしてここに…?」

私の問いに、静子さんは涙でぐしゃぐしゃの顔のまま、満面の笑みを浮かべました。
そして、震える指で掲示板の私の番号が書かれたあたりを指差したのです。

「亜美さん…!よかった、本当によかった…!」
「え…?」
「あなたの番号、あったわ。自分のことみたいに嬉しくて、涙が止まらなくなっちゃって…。亮介から、あなたがこの日のために寝る間も惜しんで頑張っているって、ずっと聞いていたから。どうか報われますようにって、毎日祈っていたのよ」

彼女が流していたのは、絶望の涙ではありませんでした。
息子の恋人である私の努力が実を結んだことへの、心からの嬉し涙だったのです。

自分のことのように、私の合格を喜んでくれる未来の家族の温かさ。
未来の家族との忘れられない絆を生んでくれた、奇跡のような一日でした。

 

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【編集部注】

本記事は、資格取得をテーマにした創作の小説であり、登場する人物や団体、出来事はすべて架空のものです。記事内で描かれている資格取得による転職やその後の展開は物語上の演出であり、同様の結果を保証するものではありません。

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