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彼が私のために選んだはずのプレゼント、ラベルに書かれていた”ある名前”がすべてを壊した【短編小説】

彼が私のために選んだはずのプレゼントラベルに書かれていたある名前がすべてを壊した短編小説

嬉しかった彼からの誕生日プレゼント

「結菜、誕生日おめでとう。これ、一生懸命選んだんだ」

彼氏の智也は、そう言って得意げな顔で、綺麗にラッピングされた箱を私に手渡してくれました。
中身は、私が前々から欲しがっていたブランドのネックレス。
智也が私のために一生懸命選んでくれた。その事実が、何よりも嬉しかったのです。

「早速つけてみてよ」と言われ、私はウキウキしながら箱からネックレスを取り出しました。
その時、ネックレスが収まっていた台紙をどかした下、箱の側面に一枚のシールが貼られているのが目に入りました。

それは、オンラインショップで購入した際に貼られる、配送先のラベルシールでした。
どうやら、彼はこれを剥がし忘れてしまったようです。

そこに書かれていた宛名は…

『玲奈 様』

私の名前ではありませんでした。
玲奈。それは、智也が私と付き合う前に別れた、元カノの名前です。

全身の血の気が引いていくのが分かりました。
きっと彼は、元カノの玲奈さんのためにこのプレゼントを用意していたのでしょう。
しかし、渡す前に関係が終わってしまった。
そして、行き場のなくなったプレゼントは、時を経て、何も知らない「今の彼女」である私の誕生日に、使い回されたのです。

「俺が選んだ」と胸を張っていた彼の顔が、脳裏に浮かんで消えます。
あの言葉も、あの笑顔も、すべてが嘘だった。
私のために選ばれたものではなかった。ただの、在庫処理だったのです。

ラベルを彼に伝えた結果

「どうしたの?結菜?」

私の反応がないことを不思議に思ったのか、智也が心配そうに顔を覗き込んできます。
私は何も言わず、ただ、箱の側面を彼に向け、玲奈さんの名前が書かれたラベルを、震える指で示しました。

彼の顔が、みるみるうちに青ざめていくのが分かりました。
彼は何も言えず、ただ口をパクパクさせています。その表情が、全ての答えでした。

本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。

 

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