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誕生日プレゼントは、彼の“嘘”が詰まったバッグだった。SNSで知ってしまった、残酷な真実【短編小説】

誕生日プレゼントは彼の嘘が詰まったバッグだったSNSで知ってしまった残酷な真実短編小説

彼がくれたバッグ、私は幸せの絶頂にいました

「聡美、誕生日おめでとう。これ、ずっと欲しがってたでしょ」

彼氏の健司が、自信満々の笑顔で差し出してくれたのは、私がここ数ヶ月ずっと憧れていた有名ブランドのバッグでした。
雑誌で見かけて一目惚れし、彼にも「このデザイン、本当に素敵だよね」と何度も話していた、まさにそのバッグです。
まさか本当にプレゼントしてくれるなんて。私は天にも昇る気持ちで、何度も彼にありがとうと伝えました。

真新しいバッグを手に、私は幸せの絶頂にいました。

見てしまった、バッグの真実

そんなある日の夜、ベッドで何気なくSNSを眺めていた私の指が、ある投稿でぴたりと止まりました。
それは、「巧妙な偽ブランド品の見分け方」というタイトルの注意喚起の投稿でした。

「最近は精巧なものも多いから、気をつけないとね」

そんな軽い気持ちで、記事の画像を見て、私は息を呑みました。
偽物の特徴を説明するための見本として使われていたのは、私がいま持っているものと全く同じモデルのバッグだったのです。

投稿には、偽物の特徴が3つ挙げられていました。
一つ、ロゴの金具の文字が、正規品よりわずかに太い。
一つ、内側の縫い目の間隔が、少しだけ不揃いである。
一つ、持ち手の角の処理が、甘く尖っている。

まさかと思いながら、私は自分のバッグを恐る恐る、投稿の画像と見比べていきます。

ロゴの文字は…言われてみれば、確かに太い気がする。
縫い目は…あぁ、この一角だけ、他より少し幅が広い。
ファスナーの持ち手は…指でなぞると、確かに微かな引っかかりを感じる。

私の手の中にあるバッグは、SNSで「偽物の見本」として晒されている画像と、悲しいくらいに完全一致していました。

これは裏切り?それとも…

全身から血の気が引いていくのが分かりました。
健司のあの得意げな顔が、脳裏にちらつきます。彼は騙されたのでしょうか。
それとも、これが偽物だと知っていて、私に渡したのでしょうか。

どちらにせよ、私の「欲しい」という気持ちが、彼に嘘をつかせたのかもしれません。
高価なプレゼントを渡したという事実だけが欲しかった彼の見栄と、私の憧れ。
その二つが合わさって、この偽物のバッグが生まれたのです。

キラキラして見えたはずのバッグが、今はとても醜く、安っぽいものに見えました。
これは、物ではなく、彼の嘘そのものでした。

本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。

 

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